
万葉の歌に詠まれた地を旅しています、という年配の女性から「ローカル線はいいですね。ゆったりして、のんびりとして」そう話しかけられた。鎌倉からというその人は旅するだけのローカル線をほめられた。
大動脈の路線とちがい、ほめられたことはそのとおりだ。その陰に便数は減り、駅は無人となり自販機が応対、改札も検札もなくなった。乗り降り自由な駅がローカル線には並んでいる。
市内には二つのローカル線が走っている。その沿線人口は減少に歯止めがかからず過疎化へと進んでいる。ローカル線の経営は一筋縄ではいかないことは良く知られている。それでも車の便のない人の通院や通学などには欠かせない足であることは昔と変わらず、止めることはできない。
そんな中で生き残りをかける一つに観光がある。3セクターの鉄道会社はそこに力を注いでいる。沿線の見どころの発掘、ローカル行事へのタイアップ、温泉やホタル、農産物など沿線のあらゆるネタを乗客増へ連結しようと努力している。
混雑と格闘する大都市の路線を見なれた人にはローカルという言葉のひびきが心を癒すのだろう。そこにローカルの生きがいがあるようだ。地方のよさを自然を壊さずに広める、そんなローカル線に地域は期待している。
(写真:目に見えない重い荷を積んで走るローカル線)