吉香公園周辺には樹齢400年近いといわれる桜の古木があるという記事を読んだ覚えがある。吉川藩がこの地に赴くことになったのは、1600(慶応5)年の関ヶ原の戦いの後、毛利家内の諸事情からだった。城山山麓に1608(慶長13)年に居館「土居」を完成した。その頃から咲き続けている桜は歴史を見続けた桜翁、今年もどこかで咲くのだろう。
以前にもふれたが、公園一体の桜の木は右回りにねじれているものが多い事にことに気づく。なぜそうなのかは分からない。ここ吉香公園だけなのか吉野桜の遺伝なのか謎は解けないまま残っている。木皮だけ、頑丈な支えにのせられた、幹の空洞から竹が生えている、など古さを示す桜の木がいたる所で見られる。そんななか世代交代の若い木も多く見かけるようになった。
散歩しながらそんな木々を見て歩くのも面白い。ツツジの垣根にもたれかかり足を組み、両手を伸ばしたような桜の古木。長い年月を掛け自然の力を借りながら桜の木自身が作り上げた姿だ。少し艶っぽくも見える。
この幹の小枝では桜のつぼみが膨らみ始めている。枯れ木に見られそうだが桜としては現役の古木。植物の生命力の強さを知る。あと1週間もすればそのことを見せてくれる。咲いた姿も残しておこう。