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道路が整備され交通量が増加、それに伴って横断歩道や陸橋、信号機などが設けられる。交通事故から歩行者を守るために、今もそれらの整備は続いている。子どものころの通学路にはそのどれもが無かった。たまに通るオート三輪車に道を譲るくらいだった。
家から一番近い陸橋はカーブになっているT字路にある。3つある階段のひとつは交番のそばに、反対側には交通安全と表札のついた地蔵さんがある。事故で亡くなられた方の弔いと安全を願っての地蔵さんだろう。いつも綺麗な花が供えられており、頭を下げて通る。
この陸橋を渡る人よりは歩道で左右を見て車道へ駆け出す人の方が多い。だからこの陸橋の下を運転するときはよく注意している。私は歩いているときは必ず使う。安全のためもあるが、視界が変わるのもまた楽しい。
見慣れたお城山も視線が数m高くなるとたたずまいが変わる。錦帯橋からの直線道路の通行状態でその日の賑わいが分かる。反対を見れば、歩道からは見えない小学校の運動場がひと目で見れる。そこでは体操や遊びに夢中の児童らの動きが声と一緒に伝わり、その元気な姿に安堵する。時々は橋上に立ち止まってその様子を眺める。
陸橋ほどの高さでも、そこでの視線は車を運転するときのそれとは違い遠くまで届く。したがって視界も広くなり見渡せる範囲も広がる。これまで最も高いところへ上がった経験は完成翌年の東京タワー。そのときの記憶、残っているのは高いというそれだけ。昔の武蔵(むさし)の地に建てられたタワーは武蔵にちなんで634m、晴れた日の見晴らしは素晴らしいと土産話。1度はその視界を楽しみたいと思っているが、さて結末はどうなるのか。