時代劇では川船で悪巧みを話し合う場面がしばしば登場する。そんな船は障子で周囲を遮り景色を楽しむ事はしない。逆に外から内を伺うこともできない。秘密めいた舞台装置としてはいい。そんな光景がかってここ錦帯橋のかかる錦川であったか否か、だれ知るよしもない。
船遊び、船で川や池に出て楽しむことで、古くは平安時代、船上で宴を催し詩文を作り、奏楽を楽しんだという。風流・風雅な遊びだったろう。今、都会の船遊びは船外機を付けた大型船が使われ、林立するビルを水面から見上げ近代都市を味わっている。
障子の変わりは風除けの透明なシートを下げた川船のうえで宴が開かれている。錦帯橋を眺めながら地元の酒を味わうという川船での催し。二人の船頭が船べりに腰を降ろしているところがのどか。ときどき周回してはまた一休みする。遠くて宴の会話が届かないのは、地酒をゆっくりっと味わっているのだろう。
鵜飼の遊覧船をそのシーズン以外でも活用しよう、そんな企画が伝えられている。地元に伝わる料理を肴に、その名を知られる地元の銘酒を味わうという、酒好きな人にはたまらないだろう。遠来の人をもてなせばこの上なく喜ばれるだろう。名勝・錦帯橋を渡るもよし、それを見上げながら地酒を頂く風情ある船遊び、鵜飼まで楽しみは続く。