青い空を背に錦雲閣の屋根が映えている。そのうえを鳩が群れをなして静かに回る。ふと中学校時代の校歌を思い出した。
空に鳩の群れは静かに回り 鮎は集いのぼる 錦の川の緑
ふるさとの岩国の 清らかさよ
今ぞ大地に踏み立って 知性を磨くは 若い学徒我ら
この平和を守る 母校の誇り
これは岩国中学校入学の前年、昭和27年に制定された校歌の1番。入学式の前日の予行で練習した。音痴の私だが、出だしが妙に気に入り、今も口ずさめる。3番まで通して、故郷の誇りとそこで学ぶ学徒の責任が簡易な言葉で織り込まれている。
第2次世界大戦が終わってすぐに小学校入学、その後に起きた朝鮮戦争、岩国基地から連日爆撃に向かうB29の機影を目にしていた。中学入学の年の夏、朝鮮戦争は終わり静かな空となったことを子ども心に記憶している。
藩主も眺めかなわなかった高どころで、平和のシンボル鳩らは何を見ているのやら。