
最近のテレビドラマは警察や医療関係のものが多い。医療ものでは医療界の常識を外れたスーパードクターと新技術、時には未来の技術も登場し、快適な展開で進む。警察ものは内部の権力争いを中心に展開する一方で、こちらも警察というイメージ外れのデカさんが難問を推理して事件解決を見せる。
抱いている警察や医療の現場とは異なるが、防犯カメラ、スマホ、パソコン、鑑識と手際よく進む。そんなドラマを見ると思い出す。1964年の東京五輪大会開会式の少し後だった。23時までの勤務を終えバスを降り、右側を歩いて帰宅中、後方から来た自動二輪車にはねられた。加害車は逃走したが、記憶していたナンバーと転倒時に折損したスッテップを事故現場で警察に伝えた。
手当を受け帰宅して就寝したのは深夜になっていた。今でもはっきり記憶しているが午前4時に若い制服警察官が来宅。ひき逃げ犯の逮捕状請求のため改めての事情聴取だった。犯行を否認しているので急ぎ手続きと聞いた。聴取中、母が湯呑でお茶を出した。「有難うございます。私は勤務中ですので」と聴取を続けた。早朝の来宅を詫び、結局湯呑には手をつけないで帰署した。
警察はひき逃げした二輪車を深夜に割り出した。ステップの折損跡はぴたりと一致したが否認したという。私にすれば数時間の早業に思える。1年延期の東京五輪開会式が近づき、ドラマのコーヒーなどうまそうにご馳走になるシーンと見比べている。時代は違うが、元警察官の知人が「お茶一杯が命取り」という経験談を思い出す。