
散歩沿いにあるあちこちの屋敷の塀から「サルスベリ」の花が夏空を背に咲いている。子どものころ、隣の家の広い庭にサルスベリの木あった。そのサルスベリの木は、剪定された短い枝が何本かついたが、見た目は幹だけのようでつやつやしていた。触るとすべすべしていた。幹の途中の枝に、子どもなら座われそうなほどの大きな猿の腰掛があったのを記憶している。
いま、辞書を開くと「幹の皮が滑らかなので猿も滑る意」と載っている。猿も滑って上れないから途中に腰掛がありそこで休む」そんな話で納得していた様な記憶がある。木登り上手な猿が上れない、木の皮の感触はそれを不思議に思わなかった無垢なころもあったようだ。
サルスベリは一般的には「百日紅」と書かれる。「ひゃくじつこう」とも読まれる。これにはある悲恋物語が隠されていて、その物語から生まれた花がおよそ百日もの間咲いた。サルスベリも夏の時期に長く咲くことかつけられた、そんな話もあるとか。その他に、表し方として、そのものずばりの「猿滑り」、初めて知ったが「紫薇」と書いてサルスベリと読む。材は緻密で細工に適する。
しわしわの花は、一度咲いた枝先から再度芽が出て花をつけるため、夏から秋までの長い間咲き続けているように見るそうだ。秋になると早めに落葉する。その前に、まだ見たことはないが世代を繋ぐために実がなるそうだ。花を見上てて通り過ぎるだけなので実までは気づかなかった。これからは少し観察眼を持って見てみよう。