
歩いていて昭和時代に栄えた商店街の通りに曲がったとき、年配の旅行中らしい夫婦が写真を撮られところに出くわした。撮影の邪魔をすまいと立ち止った。そこは何十年も前に閉店した書店(本屋)の跡。撮り終わって私が地元の者と分かったのか「本屋はもう一軒あったように思うのですが」と問われた。
写真の書店の2軒隣に本屋はあった。そこも早くに閉店しており、いまは城下町から本屋は消えている。「このあたりに家具や帽子の店の記憶があるのですが」と言われる。撮られていた本屋の前にあったが、これも閉店して長い月日、などを話した。「駄菓子店が残っていて感動した」と、昔のこの通りを思い出されている。
「親の転勤で多くの土地に住んだ。退職したので、そうした懐かしい所を訪ねております。錦帯橋もその一つで、昭和の街並みを思い出し歩いています」カメラを仕舞いながら「商店街が消えているのに驚きました。ただ、錦帯橋の5連は昔のイメージ通りでした」など話しながら歩き、左右に分かれた。お住まいは九州とだけ明かされた。
たまに、こうした懐かしさから当地を旅行する人に出会うことがある。これも九州の人だったが、錦川沿いの竹林を楽しもうと新岩国駅から歩いて来たという人に、錦帯橋上流の千石原地区で出会った。その人の感想は竹林が狭くなっている、そんな感想だった。護岸工事などの影響が出ている、その時は思った。何か起死回生の策はないのだろう。
(今日の575) 懐かしく訪れた人の声聞こう