
中国四川省大地震は時間の経過とともに甚大な被害の様子が生々しく報道される。死者・行方不明者は数万人を越え、負傷者はその数倍という。なにも出来ない今は衷心からお見舞い申し上げるほかに術が無い。
「備えあれば愁いなし」という。どこまで備えれば愁いがなくなるのだろう。四川省の地震を知る限り、自然の力というかエネルギーというか、そのはかり知れない現実に立ち往生する。
といって何もしないわけにはいかない。小さくても出来る備えは務めだろう。梅雨入りを前に側溝の清掃が行われている。町内一斉に実施される。排水の流れを良くするだけでなく、夏場に向かっての蚊やハエの発生予防にもなる。
前に住んでいた町ではこの側溝清掃を毎年経験した。コンクリート製の重い蓋を外す。堆積した土やゴミを取り出す。単純な作業だがこれが肉体労働だった。
町内は高齢者が多く、自然と若手にその比率が高くなる。誰からも愚痴を聞かなかった。協働をこうした中で自然に学んでいた。終わったあとの冷たい缶ジュースで話がはずんだ。
道側に詰まれたヤーン袋、大きさはさまざまだが、ほっとした顔のように見える。仕方なく流れ込んだ側溝から日のある場所に出られたことで。これから行くところを知らぬままに。
(写真:積み上げられたヤーン袋)