
明け方の少雨は春の季節の最後「穀雨」への気持ちか。国道187号線を錦川沿いに上流へ向かった。久しぶりの走行、当然だが山桜の姿は消え山ツツジが斜面のそこかしこに咲き始めているが、見せ場には至っていない。それを補うのは緑色。濃淡含め緑にこれほどの色会いがあるのかと驚く。それでも緑といえばやはり草木の新芽がその代表になる。
市内の講演で187号線は「いやな道」と語呂合わせのシャレを口にされたのは竹下元首相。故郷島根県から車で錦川沿いを走られた感想。元首相自ら運転されたわけではないだろうが、高級車の後部座敷でもそう感じられる曲がりくねった片側1車線の国道。あれから何十年も経過したが、快適な国道に昇格することなく陰陽の重要な役割を果たしている。
ブログやローカルニュースで話題になっている二輪草の里へ回ろうと帰りを急いでいた。二輪草の里へは187号を右折して錦川に架かる橋を渡るが、橋の手前から渋滞になっている。事故かと思いながら橋の見えるとこまで来た。なんと、二輪草の里へ向かう車が橋のたもとで込み合っている。狭いため橋上での離合が容易でないことも込み合いの原因になっているようだ。たまたまその時間だけが混雑したのかもしれないが、橋の両端に誘導者が必要かな、そう思いながら二輪草は何度も見ているのであきらめる。
187号を1年に20回以上、2年ほど走ったことがある。そのくらい走ると道の状況は把握して、鮎かけの人、川面の霧やそこから上る虹、錦糸の織物ように色づく山、高い峰に残る残雪など四季を感じながら運転していた。久しぶりだとそうはいかない。いやな名前の道なりから目が離せない。前を行く私よりさらに慎重な運転の車に追いつきほっとしたのは、後続車に迷惑をけているという意識からの解放だった。