
この2年いや3年ほどの間に我が家から四方向1000歩ほどの距離に何軒の家が建ったろうか。その数は両手の指の数をはるかに超える。家の外見から若い人だろうと思える家が多い。本から抜け出たモデルハウスのようなおしゃれな明るい家、そんな家は若さに似合いの車が2台の置かれているが、昼間は見かけないことが多い。
新築を囲む塀、ブロックは灰色の無粋なものはなく、カラフルな遊び心あふれるもので、それは積み木を楽しむような出来栄えになってる。花壇と庭木、こちらも絵本のように綺麗で季節の花が咲いてる。今月の初めに完成した家は、リビングらしい部屋の外に濡れ縁がついた。新築で見かけることのなかった濡れ縁、モダンな構えに渋さを感じる。
錦帯橋を城山に向かって渡ると風致地区、超モダンな建物はなく、新しくても大方が和和風作りで統一されている。それは多くの史跡を見て歩く観光の人らにも心地よい風景と思う。そんな地区に道路に面する2方向が長い杉垣の家がある。いつも綺麗に剪定されている。刈り取られた角は直角でその線はいつも直線、道路と向かいあう面は緑の紙を張り付けたように平らに仕上がっている。剪定はこの家の主、何度か作業を拝見している。ひょっとしたら藩政のころからの続いている垣かもしれない。
垣は屋敷や庭園などの外側の囲いのこと。これから派生したのか、人との関係では高くても低くてもいけない、有ってもいけない無くてもいけない、そんなことわざがいくつもある。ただ健全で正しい垣なら壊されない、侵入されることはない。賢者の心持ちにはなれないが、壊されないように身を守る垣は心に決めておこう。