a letter from Nobidome Raum TEE-BLOG

東京演劇アンサンブルの制作者が、見る、聞く、感じたことを書いています。その他、旅公演や、東京公演情報、稽古場情報など。

いま、わたしたちは。

2011-03-17 11:09:00 | Weblog
未曾有の大災害により、
日本列島が寸断され、
今もなお、予断を許さない状態が続いております。
なくなったみなさまには深い哀悼の念を祈りますとともに、
被災地、被災者のみなさまの、
一刻も早い回復を願うばかりです。

東京演劇アンサンブルでは、
11日の午後、
翌日に行う研究生公演の準備をしており、
15時から通し稽古を行う予定でした。
3度大きく揺れたかと思いますが、
この日の稽古は中止し、帰宅することにしました。
この日は帰れなかった劇団員もいます。

翌日、
照明機材のチェックをしたところ、
きつく締めていたはずのハンガーが緩んでおり、
あらためて揺れの大きさを知りました。

この段階で、
夜の研究生公演を行うか、どうかを検討しましたが、
こんな時だからこそ上演しようという決断をしました。

今私たちにできることは、
これまでと変わらない日常を過ごすこと。
そういう未来があることを、
被災したみなさんにも知ってもらい、
一刻も早く、日常を取り戻す糧にしていただくこと。
そう思っています。
そして、私たちにとっての日常は、
演劇活動でしかありません。
芝居を続けることで、
人に寄り添う気持ちになったり、
エネルギーを持つことができたり、
そういう人が、
また次の人にその気持ちを伝える。
そんなことでつながれる。
演劇とは、そういうものなのだと思っています。

東京演劇アンサンブルは、
学校公演をはじめ、
夏の演劇合宿など、
東北地方は、知己の多い地域でもあります。
少しずつですが、連絡も取れ始めており、
その都度、胸をなでおろす日々が続いています。

残念ながら、
この時期に行われるはずだった学校公演が中止になったりもしましたが、
一方では、被災地に近い学校から、
「無事だったのだから、今こそ、やはり見せたいのだ」
という力強いメッセージを頂きもしました。
私たちが励まされる思いでいます。

劇団員の親類縁者は、ほぼ無事が確認されましたが、
まだまだ日常の生活になるまでは、時間を要すると思います。

現在劇団では、
毎日、最後の改修工事を行っています。
1年半前に大稽古場の改修を行った時同様、
同じ釜の飯を食いながら、
倉庫の解体の準備をしています。

演劇は、必ずしもすべての人にとって必要なものではありません。
数ある芸術の中で、
演劇を選択する人が享受できるものでもあります。
しかし私たちは、
町の商店や、
雑貨屋や、お蕎麦屋さんが、営業停止となるまで、
演劇活動を継続します。
これが私たちの日常だからです。

今後どういう形で協力できるかわかりませんが、
今回の被災を受けた人びとが笑顔になれるよう、
私たちにできることを続けようと思います。