空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

「教条性にたいするかすかないらだち」(銀英伝第三巻)

2019-02-03 19:39:26 | ノート
『銀英伝』を教育に役立ててみる試みの用意。




「ローエングラム公は戦争だけでなく、人気とりもたっしゃなものだな」
 開明派の要人として、ラインハルトの改革を手助けするカール・ブラッケが、同志のオイゲン・リヒターにそうささやいた。
「そうだ、人気とりかもしれない。だが、旧体制の貴族どもは、人気とりすらやらなかった。一方的に民衆から搾取するだけだった。それにくらべれば、これは前進であり向上であることはまちがいない」
「だが、民衆の自主性によらない前進が、前進の名に値するだろうか」
「前進は前進だ」
 リヒターの声には、ブラッケの教条性にたいするかすかないらだちがひそんでいる。
」(銀河英雄伝説・創元SF文庫版第三巻p.49)

 私はリヒター派。
 しかし世間にはブラッケ派が結構いるということだろう。民衆から発した民衆の魂の叫び、表明、具象化でなければならず、営利企業がそこに介入するのは本来民衆のものである運動を詐取することに他ならない、というくらいの認識。
非営利=偉い」というだけでなく―非営利は崇高な行為である(まあ結構同意が得られそうだ)、というだけでなく―、それ以外は単にまがい物であって、まがい物であるがゆえに存在すべきでない(こうまで言えばさあ、同意が得られるかどうか)とするわけだ:「だが、民衆の自主性によらない前進が、前進の名に値するだろうか」というのは。

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