空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

出生数減・結婚適齢後期~団塊ジュニア世代対策の失敗が顕在化した、と見えるわねえ

2019-10-09 10:13:00 | ノート
日経ビジネス 90万人割れ、出生率減少を加速させる「子ども部屋おじさん」 2019年10月7日 武田 安恵

想定より早いペースで少子化が進んでいることに対しては、団塊ジュニア世代(1971~74年)の高齢化が進み、出産適齢期でなくなったことや、20代の女性が578万人、30代の女性が696万人と、出産期の女性の数自体が減っていることが主な理由に挙げられる。しかし、こうした人口動態の変化は、17年時点である程度把握できていたはずだ。なぜ狂いが生じたのか

 問題点の把握はできている。問いを立てるべき点の一つを把握していることはその通り。

直近の国勢調査(2015年)では、男性の生涯未婚率は23.37%、女性は14.06%となっている。「国立社会保障・人口問題研究所の想定以上に未婚化が進んだのでは。とりわけ、一番出生率に影響を与えるとされる、20代後半の未婚率が増えている可能性が高い」と天野氏は分析する

 まあ、これは分析と言うか、統計の領域に属するだろう。他方―

だが、天野氏は未婚率の上昇は必ずしも経済的理由とは限らないと話す。「20~40代の独身男女の6~7割が親や親族と同居している。子どもを手元に置いておき、仕事や結婚に関してまで口を出す親が昔より増え、自立できない若者が増えている。結果、結婚しようとしない若者の“増産”につながっている」(天野氏)というのだ。男性の方が数が多いこともあって、天野氏はこうした現象を「子ども部屋おじさん」と呼んでいる

 とまあ、記者さんは、取材先の発言を拾っただけだということにしておこう。
 ただまあ、この「子ども部屋おじさん」には大変あれこれ問題・論点が隠れているので、このまま放置するのは議論の発展性の点でもったいないし、議論しなければ問題の把握ができず、問題の解決に全く資さないので、どうかと思われる。

 まず、こうも出生数、予測数が落ちたのは何故か。「団塊ジュニア世代(1971~74年)の高齢化が進み、出産適齢期でなくなったこと」により、この世代の女性が計算から抜け落ちたことを挙げることができる。

 じゃあなんでこの世代が子をろくろく作らぬまま、未婚のまま過ぎてしまったかって、そりゃあ「失われた二十年」のせいだろうよ。

 いわゆるアベノミクスがまあまだしも成功を収め始めたとでもいえた時期。一時的にでも、高齢初産が微妙に増えたという報道があったことを想起したい。”二人の愛の結晶”なり、”老後の生活保障の一環”であれ、ともかく子供は欲しいなあという欲求はあるのだ、こういう、「非正規雇用の増加、給料の減少、社会保障費用の増大」のなかに生きる中年たちにも。

 ところがアベノミクスは(笑)といった程度の評価にとどめざるをえまい。当然のことだ。生活防衛のために実家暮らしを続けざるを得ない人々を、そのままの状態にとどめおいたまま過ごしてしまって、「団塊ジュニア世代(1971~74年)の高齢化が進み、出産適齢期でなくなっ」てしまったではないか。

 あああと、現代社会・最弱設定の生物たるおっさんを便利に使ってお楽しみでええですな、という点は









 と、怨嗟の声が渦巻く勢いだが―

 ―ところで「結婚した女性」というのは出産する存在なのですかね?という疑問もあろう。私のところに来た縁談は、「私と私のお母さんの老後の生活を保障して!」というものであって、子供を産む話はまったく出てきませんでしたが。そうではなく、年に一度は海外旅行を楽しめる生活を、というお話で。

 ということで、ここにも問題がでてくる―そうした結婚適齢後期・末期の女性たちが求める”まあ、並の生活”の水準があまりに高くなり、そこらの一般男性では実現不可能になってしまった、という点。

 生物的男性は、あきらかに子供を自ら産みはしない。それゆえ、金のない実家暮らしのおっさんこそが女性の結婚~出産を阻害する主要因なのである!と叫んでみるのはまあそれはそれで思想と表現の自由だろうが、そこは問題の一端にすぎない、ということはたまに考えてみるといいと思うなあ。
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