空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

teiresiasさんがみたりしたソマリア近況まとめ

2007-08-18 19:47:33 | その他
 ハロゥ,戦友。本日は些か趣向を変え,軍事情報提供風に進めたいと思う。

 中の人は情報収集中にサイト「軍事情報」さんの最近のエントリ,「ソマリア情勢、悪化の一途」を発見した。
 察するに極めて有力な,影響力の大きなサイトである。相当な情報収集能力,蓄積があるものと思われる。しかしながら,纏めは,情報の蓄積によって敢えて大胆に報告したものであろうとはいえ―些か遺憾とするところ無きにしも非ずである。

 以下,先ずは全般的情勢を述べた後,部分的に「軍事情報」を引用しつつ,私見を述べたいと思う。

 全土を支配する政府が存在しないまま十数年を過ごしたソマリアは,去年,南部の過半を「イスラム法廷」勢力が確保することで相対的安寧を得た。だが12月末以来,エチオピアに支持されたバイドア政権によってイスラム法廷勢力は打破され,首都モガディシュはソマリア暫定政府の座するところとなった。
 以後,モガディシュにおける本年4月の大衝突を経たのち,反政府勢力は大規模正面衝突を行う能力を喪失したものと思われる。ゲリラ的,テロ的行為以上と言うべき行動は殆どみない(40名からなる攻勢など,報道に現れる限り,全く例外的である:本blog,ソマリア:反政府勢力の攻勢-エチオピア軍基地を襲撃 7月31日を参照されたし)。

 さて「軍事情報」は「七月十五日に始まった暫定政府による和解会議ですが、参加者が十分集まらなかったため開催できず」(以下引用は青字)と述べるが,和解会議は,再開され(7月19日の事,和解会議再開:ソマリア 7月20日を参照されたし),以後地道に展開中であり,国際社会の祝福を受けている(例えばソマリア:国連,イタリアなどが国民和解会議に使節を送る 7月29日)。

 また会議休止の主因は反政府勢力の攻撃にあり,必ずしも参加者の少なさによるのではない(少なくとも,表向きは)。但し,ハウィエ氏族の一部勢力の支持が得られた(ハウィエ氏族は国民和解会議に参加する:ソマリア 7月9日)とはいえ,未だイスラム法廷勢力,ハウィエの全面的協力は得られない。

☆訂正追記:7月15日に開会,直後に休会したのは,国外からの参加予定者が到着しなかったから(いよいよ開催,和解会議→即座に中断延期:ソマリア 7月16日)ですので,「軍事情報」さんの表現のほうが,寧ろ正解です。☆

 以上,和解会議は万全のものとはいえないまでも一定の成果を収めているというべきだ。実質的な意味にせよ,再開されない―とは些か不適切と言うべきではなかろうか。
☆追記:先方は「再開」なる語を用いていないので,この批判はちょっと不適切。つまり「開催できず」とのみ述べ,実は開催したこと,休会,更にその後の再開に言及しない点を不足として指摘すべきところです。☆

イスラム原理主義勢力「イスラム法廷会議」と暫定政府の間では、いまだ休戦合意がされていません」は事実である。
 暫定政府としては,イスラム法廷勢力に対する恩赦を出し,エリトリア首都アスマラ以外の,第三者的地域における会談の道を提示してもいる(この件のソース失念)。交渉は水面下で行われているものと思われる(ソマリア:エチオピアはイスラム法廷側と秘密交渉を始める? 8月6日)。

 エチオピアの撤退が願われるが,AU平和維持軍の展開が遅れに遅れている以上(例えば,ブルンジはAU軍派遣を延期する:ソマリア 8月9日),今後もエチオピアは展開を続けるものと思われる。
 そんな中,既に1500―1600の兵員を提供しているウガンダがさらに250名の軍事教官団の派遣準備を進めている(ウガンダはソマリア政府に軍事訓練を提供する 8月16日)。人道危機は未だ続いているが,蝸牛の歩みとはいえ,関係各国の努力は続いている。

 くたびれたので今日はここまでだ,戦友。食事が私を待っている。

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