7月14日付けSomaliland Times,US navy has unofficially `blockaded' all sea going traffic destined for the port of Berberaの本文中に,an unmarked Hercules AC10 transporter planeなどという表現がある。これには幾つか難点があって,解釈に困る。
結論から言えば,これはロッキード社の軍用輸送機,C-130ハーキュリーズ(Lockheed C-130 Hercules)(Wikipedia日本語版)をベースとした地上攻撃機AC-130を意図したものだろう。ガンシップ(Wikipedia日本語版)である。
記事にはわざわざtransporterとある。恐らく,目撃されたのは,ずんぐりむっくりの低速輸送機然とした機体だったのだろう。
あえて「A」の文字を加えたのは,恐らく,ごつい銃砲を装備しているのが目撃されたからなのだろう(攻撃機,というわけ)。たまたま,指示待ちか何かの都合で旋回していたのでなければ―輸送機が旋回(注1)する意味はあまりないだろう。だから目撃された機体は,輸送機である可能性は低い。武装した機体なら,威圧,念のための待機などという可能性はあるだろう。
注1:旋回,じゃないですね「偵察」ですね。読み違え,誤解です。どっちみち,輸送機による偵察と言うのも考えにくいですし,論旨に影響はないということにしてくださいっ。
だから私は,当時ソマリランド上空を飛んでいたのはAC-130であったと,一応推測する。
では誤解,ないし誤植の解釈である。
まず「10」の数字はどこから来たか。ハーキュリーズといえば130である。ビリーズブートキャンプ実行130日目を迎えた人が,それにちなんでblogを書けば,それは当然C-130の記事になる(Hi-Low-Mix,ビリーズブートキャンプ130回目。お久しぶりですマスター。コアランサー乗りの大尉です)。軍用機に多少の興味があれば誰でも知っているような,ベストセラー機である。
ではなぜ「10」か。記者の脳裏には,フェアチャイルドA-10(Wikipedia日本語版)の語がちらついたのではないだろうか。だから「13」でも「30」でもなく,「10」だったのではないか。「地上攻撃機が目撃された」のなら,この誤解が発生する余地はないでもない(これもあって,当該機は武装していたのだろうと推測する)。
では逆に,なぜA-10の可能性を排除するか。
目撃証言と齟齬が大きそうだし,それにこちらは寧ろ対戦車・堅固に防御された施設に対する攻撃機の雰囲気を纏っている。戦争でフセイン・イラクに対するならともかく,ソマリア近辺で平時に飛ばすには,あまりに武装がごつすぎる。テクニカル程度しか装備していない相手には,やや低速でじっくりたっぷり砲火を叩き込める機体が有効のはずだ。
このあたり,私は軍オタではないので想像の域をでない。過信は禁物。
また,AC-130なら,これまでもソマリアに投入されたことがあったかと記憶する。
ソマリランドタイムスの記者は,恐らく,A-10とAC-130をクロスさせてAC-10なる単語を作り出してしまったのだと思われる。transporterやHerculesとつけたのは,A-10と区別するため,明確化のためだろうか。だがそうなると,transporterなるつけたしが,微妙に意味不明になる。攻撃機はtransporterではないだろう。「Hercules AC-10」で(不正確でも)十分意図が通じるはずだ。
ならば,あるいは本当にただの輸送機だったのか? しかしそれなら,Aの字が出てくる余地がない。
さてここで,記者と目撃者との間の情報伝達に問題があったかと想像することもできる。目撃者の話を聞き違えた,理解しそこなった可能性は? 飛行機が,威圧するような感じだったと聞いて―それなら武装していたはずだ,と想像して,あえてAをつけ加えた可能性は?
私は一応,AC-130が目撃されたと解釈した。ただ,この推測はどうにも揺らぎがちだ。ソマリランドタイムスの記者が,もっと誤解の少ない,ないし正確な書き方をしていれば(例えば「C-130」ないし「ハーキュリーズ輸送機」,「AC-130」),疑念は,良かれ悪しかれ(事実に即しているかいないかはさておき),避けられたかと思う。
…そう思うにつけ,私も正しい,誤解のない文章を書かねばならぬと思う今日この頃である。
今回はhuさんが珍しく妙なこと―「AC-10」の表記のこと―を書いていましたので(ソマリランド公海を米軍が封鎖? (2007-07-23)),その補遺記事を書いてみました(結論だけは,向こうのコメント欄に書きましたが。あまり他所で暴れるのはよくないと思って,独立記事にしました)。原文からして誤植/誤記だったわけです。よくないですね誤記。変に人を迷わせます。AC-10でgoogle画像検索をかけるとタイヤしかでてこない。これはもう,笑うしかっ!
結論から言えば,これはロッキード社の軍用輸送機,C-130ハーキュリーズ(Lockheed C-130 Hercules)(Wikipedia日本語版)をベースとした地上攻撃機AC-130を意図したものだろう。ガンシップ(Wikipedia日本語版)である。
記事にはわざわざtransporterとある。恐らく,目撃されたのは,ずんぐりむっくりの低速輸送機然とした機体だったのだろう。
あえて「A」の文字を加えたのは,恐らく,ごつい銃砲を装備しているのが目撃されたからなのだろう(攻撃機,というわけ)。たまたま,指示待ちか何かの都合で旋回していたのでなければ―輸送機が旋回(注1)する意味はあまりないだろう。だから目撃された機体は,輸送機である可能性は低い。武装した機体なら,威圧,念のための待機などという可能性はあるだろう。
注1:旋回,じゃないですね「偵察」ですね。読み違え,誤解です。どっちみち,輸送機による偵察と言うのも考えにくいですし,論旨に影響はないということにしてくださいっ。
だから私は,当時ソマリランド上空を飛んでいたのはAC-130であったと,一応推測する。
では誤解,ないし誤植の解釈である。
まず「10」の数字はどこから来たか。ハーキュリーズといえば130である。ビリーズブートキャンプ実行130日目を迎えた人が,それにちなんでblogを書けば,それは当然C-130の記事になる(Hi-Low-Mix,ビリーズブートキャンプ130回目。お久しぶりですマスター。コアランサー乗りの大尉です)。軍用機に多少の興味があれば誰でも知っているような,ベストセラー機である。
ではなぜ「10」か。記者の脳裏には,フェアチャイルドA-10(Wikipedia日本語版)の語がちらついたのではないだろうか。だから「13」でも「30」でもなく,「10」だったのではないか。「地上攻撃機が目撃された」のなら,この誤解が発生する余地はないでもない(これもあって,当該機は武装していたのだろうと推測する)。
では逆に,なぜA-10の可能性を排除するか。
目撃証言と齟齬が大きそうだし,それにこちらは寧ろ対戦車・堅固に防御された施設に対する攻撃機の雰囲気を纏っている。戦争でフセイン・イラクに対するならともかく,ソマリア近辺で平時に飛ばすには,あまりに武装がごつすぎる。テクニカル程度しか装備していない相手には,やや低速でじっくりたっぷり砲火を叩き込める機体が有効のはずだ。
このあたり,私は軍オタではないので想像の域をでない。過信は禁物。
また,AC-130なら,これまでもソマリアに投入されたことがあったかと記憶する。
ソマリランドタイムスの記者は,恐らく,A-10とAC-130をクロスさせてAC-10なる単語を作り出してしまったのだと思われる。transporterやHerculesとつけたのは,A-10と区別するため,明確化のためだろうか。だがそうなると,transporterなるつけたしが,微妙に意味不明になる。攻撃機はtransporterではないだろう。「Hercules AC-10」で(不正確でも)十分意図が通じるはずだ。
ならば,あるいは本当にただの輸送機だったのか? しかしそれなら,Aの字が出てくる余地がない。
さてここで,記者と目撃者との間の情報伝達に問題があったかと想像することもできる。目撃者の話を聞き違えた,理解しそこなった可能性は? 飛行機が,威圧するような感じだったと聞いて―それなら武装していたはずだ,と想像して,あえてAをつけ加えた可能性は?
私は一応,AC-130が目撃されたと解釈した。ただ,この推測はどうにも揺らぎがちだ。ソマリランドタイムスの記者が,もっと誤解の少ない,ないし正確な書き方をしていれば(例えば「C-130」ないし「ハーキュリーズ輸送機」,「AC-130」),疑念は,良かれ悪しかれ(事実に即しているかいないかはさておき),避けられたかと思う。
…そう思うにつけ,私も正しい,誤解のない文章を書かねばならぬと思う今日この頃である。
今回はhuさんが珍しく妙なこと―「AC-10」の表記のこと―を書いていましたので(ソマリランド公海を米軍が封鎖? (2007-07-23)),その補遺記事を書いてみました(結論だけは,向こうのコメント欄に書きましたが。あまり他所で暴れるのはよくないと思って,独立記事にしました)。原文からして誤植/誤記だったわけです。よくないですね誤記。変に人を迷わせます。AC-10でgoogle画像検索をかけるとタイヤしかでてこない。これはもう,笑うしかっ!
teiresias さんは知識の引き出しが多いですね。
私も AC-10 の検索結果がタイヤだらけだったんで若干疑問を持ったのですが、「ヘラクレス 飛行機」で検索してもそれっぽいものが出てこなかったので、それ以上の検索をあきらめました。あれ、ハーキュリーって読むんですね。
公海封鎖に関連して飛んでいたのが単なる輸送機か、それともガンシップだったのかで現場の緊迫感も変わりますし、記事から察せられるアメリカの意図も変わりますので、tiresias さんの考察はとても重要です。さっそくリンクを貼り、トラックバックを送らせて頂きました。
それと,本文中で無視した可能性がいまひとつありますね。…大穴か大本命かで,「記者がバイクマニアだった」が…。
寧ろこれが正解かもー…。