空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

議長解任? 大統領は玉虫色で

2011-12-15 22:33:03 | ソマリア関連
 昨夜伝わったソマリア暫定議会議長解任騒ぎについて,大統領からのコメントが出た:

Garowe Online Somalia: President vague about controversial removal of Speaker Dec 15, 2011 - 12:55:04 AM

 大統領が記者団に声明を書き送って曰く,「Sharif Hassan議長を譴責するこの投票はソマリアにとって危機的な時期に起きたものだ。我々はSharif Hassanに対して抱かれた疑惑を調査している,そして真実を明らかにするであろう」。

 この国は危機的な状況にあるのであって,南部地域ではアルシャバブと戦っており,ロードマップを実現せねばならず,モガディシュの飢餓に苦しむ人々を助けなければならない―彼は付言する。

 大統領のこのコメントは,議員たちが議会でパンチやキックを"取引"した14日の事件に引き続いてでたもの。この乱闘の前には,副議長の着席が拒絶されている(で,流れで乱闘に及んだものの様子)。

 大統領の態度は玉虫色vagueと言える。議長不信任を直接否認するわけではなく,認めもせず,しかし疑惑は調査しようという。現状,どう出るか不明。

 なお乱闘については:

Garowe Online Somali Lawmakers Trade Punches, Kicks in Speaker Dispute Dec 14, 2011 - 6:53:21 AM(Source: Voice Of America)

 Sharif Hassan Sheikh Adan支持派と反対派とが乱闘に及んだもの。この記事では280名の議員が動議に賛成したという伝を伝えるが,その数字は”大本営発表”である可能性がある点,Garowe Onlineが伝える(昨晩のメモを参照のこと)。

Garowe Online Somalia: TFG MPs settle disputes with their hands Dec 14, 2011 - 10:10:29 AM

 こちらはGarowe Online自前の記事。14日,Abdiweli Ibrahim Muudey副議長が無理にも副議長の席につこうとすると,Sharif Hassan反対派の人々がこれを拒み,乱闘がはじまった。Saleban Ibrahim(前日の議決に参加した)議員が語る。

Daily Nation (Kenya) Somalia legislators block deputy Speaker December 14 2011 at 19:03

 多少詳し目。
 憲章には,議長がいない場合はそれなりのsenior MPないし選任された人物が議長を務めるべきとあるではないか,にもかかわらず昨日の動議は何だ,というわけだ。副議長は議長不信任動議の議場に入ろうとして,拒まれたそう。今回はボディガードと一緒に来たが,やっぱり拒まれた―。

 …議長側の言い分を信じれば,副議長の議場進入を拒む議会というのはなんだかなーというところ。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 欧州金融危機を実感した話。 | トップ | 修士学位取り消し(筑波大) »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ftb)
2011-12-19 19:55:16
ソマリア議会では氏族が政党の役割を果たしている(?)とよく聞きますが、Sharif Hassan Sheikh Aden議長とAdan Mohamed Nuur Madobe暫定議長の対立とすれば(綴りはウィキペディア準拠)、共にラハンウェインで、支族まで同じの模様。議員がこの両者陣営に分かれたとすれば、原因はもしかして氏族対立ではなく政策論争だったりするのだろうか。もっともAbdiweli Ibrahim Mu(u)dey副議長はハウィエ氏族らしいから(http://beeshadireed.blogspot.com/2011_09_29_archive.html)、やっぱりいつものあれなのだろうか。
返信する
Unknown (teiresias)
2011-12-20 19:11:34
…議長ポスト・副議長ポスト・委員会ポストも氏族勢力を配慮して決めてるんですかね,もしかして。

ともあれ,政策論争(むしろそうあって欲しい気がしますが)でなくとも起こり得る事態かと思います。つまり『アイツの代わりに俺が元締めになってやれ』。そしたら自分および自分の仲間にもっと分け前ができるはずだ。何故今自分たちの分け前が少ないかと言えば,アイツが地位を利用して取り過ぎているからだ。俺は”より平等”に分配しようではないか―。

いやこの数日自分の専門領域の方に頭が引き寄せられていまして,ソマリア事情をチェックしておりませんが,たぶん上の憶測が正解だろうなーという気がひしひしとするのです。

参考文献,例によってコリアー『民主主義がアフリカ経済を殺す』89f.の「セレクタリアト」の記述。独裁者の,まあ取り巻き連中のことですか。
返信する

コメントを投稿

ソマリア関連」カテゴリの最新記事