空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

自己の行動に他者が如何様に反応するかということへの意識が薄い=その世界観に真の他者を含んでいない

2014-12-12 17:30:00 | Weblog
幸福の科学大学 「下村博文文部科学大臣の処分の不正を明らかにする弁明書」を提出いたしました 2014.12.09

 不認可処分に対するにあたって、相手方トップの「処分の不正を明らかにする」弁明書というのは、日常的な感覚からは正面から喧嘩を売っているように思うが、まあそれはいいのだろう(しらんけど)。

 で、「「下村博文文部科学大臣の処分の不正を明らかにする弁明書」」が奮っていて

憲法上、本学園ないしその関係者に日本国民として保障される研究・教育活動を行なう「学問の自由」(憲法23条)に対して、国家権力による完全な参入規制を行う著しく強力な処分である。

 この件に百数十億もかけたらしいが、別に文科相/省は彼らの学問の自由を否定したわけではない。「勝手におやりになればええがな」ということであって、

た目的を達成するために必要最小限度の処分のみが「公共の福祉」(憲法12条、13条)に基づく憲法上の人権の規制として正当化されると考える

 という考えのもと、「けど、他の大学と同じ列に上げるわけにはいかんなあ」という判断を下したに過ぎない。

 学問というのは、大学という形(組織、建物)で行うものではなく、創造的な知性の働きが自由な言論の形で現れる―といったものだろう。そこはとめられていない。

 だから一年で70冊にもなる”大学の学問を語るッ”というシリーズ発刊については自由に行われている。しかし、それは世間一般の、日本の大学の学術という点では(まったく)評価されない、ということを言われているに過ぎない。

 これは不当なことではなく、いわゆる学術誌に論文が採録されたとしても、まあ、なんだその、評価されないとか、「30年前なら、風呂場の焚き付けに使えただろうに!」という評価を下されたりとか、それは健全な学術の活動なのである。

 ということで、

『オレは学問をやっているッ! 世界の根本を理解しているのはオレだッ! なので当然、日本の大学の設置基準とやらに合格するはずだが、ま、書類を出してやるからさっさと認可するがいいッ!!』

 と、自分で設定した”学問”水準によらず、他者の設定した・他者によって運営、機能している学問水準によって評価されようという場合、当然その他者の基準によって評価されることになる(※同語反復的)。

 たとえば、私が突如、”実は私は、中川隆などは我が真の姿の足元を見ることさえ許されないスーパーエクストリームユーバージーニアスウルトラ最高神なのじゃああ”と主張することは自由だが、”なので他組織はそのように認識するように”というのは(少なくとも、某教団では)通らない(だろう)。

 そこで文科相/省は、必要最小限度の処分を下したのであって。ここは無矛盾なのである。

 なお諸種威圧行為―教祖の著書が一方的に送りつけられていること自体は、”まあ、そういうこともあったかもしれないね?”と事実上認める模様。但し、”でもそれって、うちの学園は一切関与してないんだけど? それなのに、うちの学園が組織的にやったとかって、なんで言うのさ。著しく主観的な憶断による不正行為としかいいようがないよねえ?”という旨、述べる(5f.)。

 …(個人的に為しえる量とは思えぬ)多数の”著書”が送付され、その”著書”に基盤を置く組織が

”へー、そんな奇特な人がいるんですかー。あ、ところでその著書に教育思想の根本を求めた我が大学の設置許可についてはどないなってますかね? え? 厳しい? いやあ、それじゃあ黙ってない連中がいるんですよー(笑) そういうのを抑えておくのも、まあ限度ってモンがありましてね(笑)”

 …と、主観的にはフレンドリーにお話してきたら、まあどんな反応をされるかちっとは考えろと。

 ところで文科省に送付された、下村氏の霊言云々の要約文書については

要約文書は、宗教法人が作成したものであるが、「幸福の科学グループ」の行為を本学園の不正行為と捉えるべきではないことは、前述のとおりである

 共同謀議など一切やっていない! と主張するものである。ところで幸福の科学大学(仮称)は千葉県長生郡長生村―とあるIRORIOなるサイトのページ(「千葉県長生村に幸福の科学大学が設立予定、政教分離は大丈夫か」2014年04月09日)によれば

大学の設置場所(千葉県長生村一松字中瀬丙4427番1)は、JR外房線の八積駅からも上総一宮駅からも約3キロ離れた、海岸にほど近いところだ

 とある。ところで

幸福の科学 ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ(HSU)開校のお知らせ 2014.12.10

 によれば、私塾ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ所在地は

所在地:〒299-4327 千葉県長生村一松字中瀬丙 4427番1

「学部」は

定員:「人間幸福学部」90人/「経営成功学部」80人/「未来産業学部」70人(合計:240人)

 であって―

 ”いやあ、大学と教団は別団体で一切関係はないんですよー。たまたま、所在地とかかさなっちゃっただけですって! ああそうそう、うちの大学の設置がなしになっちゃったんで、たまたま私塾をつくろうとなさってた幸福の科学さんがうちの空き施設を借りたいとおっしゃって! 学部構成とか開学の精神とか、いやあ、たまたま重なっちゃいましたねぇ。偶然って、すごいですねえ。ああ、いやいや、これはうちの大学の建学の精神とかが一般性を持っているという、あきらかな証拠ですよ!”

 というのが通るかなあとか。

 なお

既に300冊を超える書籍等を通じて霊言現象を学問的に研究することは十分可能である

 だそうで。
 なら、一言だ。「やれ」。つまり「学問的新規性を証明しろ」。そこが足りないといわれているのだ。そこを正直に、”可能、だよっ!”と言い放っちゃったら、そりゃ「やって。超特急で。5年あればまあ多少はできるでしょ?」というのは、むしろ親切の領域に入る。

 ちなみに

同年11月21日の衆議院解散と12月14日に投開票が予定される総選挙による政界の混乱の真っ只中、事実上何のチェックも働かない状況下で、暫定的に大臣としての地位にあるにすぎない下村大臣が、いままさに、大臣としての権力を濫用して、極めつけの意趣返しである立憲主義違反の違憲行為を行おうとしているのである

 時系列の認識の錯誤が観取される。下村氏による不認可処分は10月31日付けで出されている由。不可の答申は10月29日には大学(仮称)に伝達され、11月7日には不服申し立てが行われている。その段階では総選挙の実施は確定事項ではない。

 そして、いままさに、下村氏は政治家として究極的なチェックをなされている真っ最中、ということになる:

The Fact 下村博文文科大臣に金銭問題!? 衆院選直前に疑惑続出 下村博文文科大臣に金銭問題!? 衆院選直前に疑惑続出

月刊雑誌「ザ・リバティ」の特別版「ザ・リバティPlus」が報道したところによると、今、下村文部科学大臣に、金銭問題が集中しているとのことです
文部科学省などの許認可権などを振りかざして、様々な利権を大臣が握っている体質が、「アベノミクス失敗」の本質そのものです

 上掲ウェブニュースのメインキャスターは、同ページによれば「メインキャスター:里村英一(幸福の科学広報局)」。

 これで”いやあ、勝手連的な応援というのは、ありがたいですねえ”が通じるかどうか。


 ところで、先の弁明書には、どんな先生がどれだけいて、どれだけの学問的業績があって、どれほどの高度な教育を展開できるものか―そんな具体的な説明は例示さえされていないような気がするが(全文くまなく見る気はしない)、その点は大丈夫だろうか。いや、幸福の科学教学については心配しないこととして、ほかの学問領域について。

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