空野雑報

ソマリア中心のアフリカニュース翻訳・紹介がメイン(だった)。南アジア関係ニュースも時折。なお青字は引用。

ひとは事後的に「敵」「他者」の過失を案出しようとしがちである

2018-11-25 16:44:23 | ノート


 あまり堂々と「イニシエーションとして必要な出来事だった」などとは言わぬがよい。止むを得ぬ鎮魂儀礼として止むを得ず発する程度が限度で、積極的な評価としては極めて使いづらい。ホロコーストは明白な悪だというにせよ、ボグロムをどこまでイニシエーション扱いするつもりだね?とか聞かれるぞ。








 事後的に決定するといういつものパターンである。
 焚書されるのは、焚書されるに値するものでなければならない―そんな激しい対応に値するものは普遍的に、通時代的に悪でなければならない―とでも。

NewsWeek Japan 29年前の「女子高校生コンクリート詰め殺人事件」の容疑者が再犯 少年法見直しの議論は海外にも 2018年8月27日(月)15時00分 内村コースケ(フォトジャーナリスト)

記事を書いたコラムニストの勝谷誠彦氏は、今回の湊容疑者の事件を報じた新潮の取材に「"野獣に人権はない"と言って、実名報道に踏み切ったわけです」と答えている。一方で、殺害された少女の方は写真付きで実名報道され、「不良グループの一員であり、被害者にも非があった」といった論調の誤報(実際にはごく普通の真面目な少女だった)もあって、報道による二次被害が発生している

 こういうのも同様で、凄惨な事件に巻き込まれるのは、そんな凄惨な場所に近づくような者でなければ、ニュースを聞く自分たちが落ち着かない。そんな要請もあるのである。ああまで下劣な連中に近づくような「他者」であってこそ被害にあう=下劣な連中に近づかない「我々」は安全だ、という幻想をつくり出すのだ。

 事後的に逸脱行為が存在したように設定する。そんな行為は割と行われがちであって―



朝鮮日報 次期戦闘機事業めぐる監査結果を発表できない裏事情 2018/11/24 08:30

韓国政府の監査院が、昨年10月から1年以上かけて行ってきた「次世代戦闘機(FX)機種選定」過程に対する監査結果の公開をめぐって悩んでいるという。「機種選定過程に問題があった」と発表すれば、韓国政府が米国の防衛関連企業から訴訟を起こされかねず、「決定的な瑕疵(かし)はなかった」と発表すれば、与党側から「前政権に免罪符を与えた」と批判されかねないからだ

 瑕疵がないなら良かったじゃん? ですまないすげえ理由である。

韓国軍は2013年から14年にかけて行われたFXの機種選定の過程で、当初内定していたF15SE(米国ボーイング社)ではなくステルス機能を持つF35A(米国ロッキード・マーチン社)に土壇場で機種を変えた。この過程で、F15SEより価格が高く中心技術の移転も拒否したロッキード・マーチン社に対し、朴槿恵(パク・クンへ)政権が特別待遇を与えたという疑惑が持ち上がっていた。
 監査院は、FX事業の機種選定問題で国家財政に巨額の損失が発生したという疑惑を調べるため、昨年10月から監査に本格着手した


 これについては

 …ステルスにしたかった・ステルスにすべき理由があった、で、ある意味、終わる話だろう。しかし前政権で合理的な判断が行われたと認定するのは、現政権的にはまずいらしいのだ:

かと言って、監査院が1年以上監査を行った末に「大きな問題はなかった」と結論を下すのも難しい情勢だ。今回の監査における中心的な調査対象は、金寛鎮・元国防相など朴槿恵政権時代の軍首脳部。「積弊清算」の一環として監査が行われた側面があるのに「大きな問題はなかった」と言えば、与党側から「免罪符を与えた」という批判が殺到しかねない

 とまあ、うん―我々は、日常的に、事後的に過失・悪事をでっち上げてでも「敵」を潰そうとする(※当方被害者側である)。だが、そうした行動を政府レベルでやられると…うんまあ人間的だねえとも思うが、それじゃ国レベルの話ができないだろうとも思える。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 野生ニホンザルの「貧血」の... | トップ | せっかくの機会を慎重に避け... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ノート」カテゴリの最新記事