非常勤。ヴィーガンの話題になったときすごく憎々しげに「ギャアギャアうるさい人たち」と言った学生がいてびっくり。他の学生も「よく分からない人たち」というトーン。主張やその根拠をほとんど知らない相手に対して憎悪や冷笑的な態度を向ける根拠は何なんだろう。
— Soichi Kawasaki (@SoichiKawasaki) October 11, 2022
まあ単に「周囲の親しい人のなかにヴィーガンがいない」というだけのことなのだろうと思うが、「自分がよく知らない人たち」を先入観を持った目で見たり、その人たちに一方的な感情をぶつけたりしてしまうことにためらいを覚えないのだろうか。
— Soichi Kawasaki (@SoichiKawasaki) October 11, 2022
この場合「よく分からない人たち」というのがどんな意味あいか、ちょっと聞いてみる必要があるかもしれない。つまり、前提知識がなく、なにやらニュースか何かでちらっと奇妙な行動をしていたという水準の「よく分からない」か、主張を聞いたうえでなぜそういう行動に至ったのか論理的な必然性が「よく分からない」ひいては「…バカ?」なのか。
あるいは、自分が肉食をしていることに引け目を感じていて、責められているような気分になっているのだろうか。あるいは単に「いろいろな難しい問題」について考えさせられそうな気がして抵抗しているのだろうか。ともあれ今日はちょっと疲れた。
— Soichi Kawasaki (@SoichiKawasaki) October 11, 2022
肉食に引け目を感じている可能性がある、と考えることが出来ること自体、ある種のバイアスがかかっているとも言えよう。しかもどういう引け目かという問題もあり得る。ソマリアの飢餓に苦しむ子供たちを思って、自分の飽食を居心地悪く思うというのはありそうだが、これは肉食をすること自体への引け目ではない。よきものを独占していることへの引け目だ。
ということで、適切な分量の肉食は動物としての人間の健康のためになる・なり得るという前提のもと、食料安全保障への意識・議論をというなら、これは高校現代社会・公共、また中学校の公民以来の問題設定のはずで、仮にも大学生であればそう難しすぎるということはない。とりあえず「みんなまあまあ生きていけるくらいには食べる権利があると思うんです、どうにか実現できないかなあ」くらい言えればまあ、よい。
それ以上の「いろいろな難しい問題」に入るには、かなーりハードルが高い。
差し当たり、西欧人・米国人レベルにお肉をばりばり食べると、どうも世界的には食料のエネルギー効率が悪そうだ―と考える・知ってもらうところから始まるかな。日本人としても、恐らくもう10%とか減らすと、より健康かもしれない―と論題提示してみてもいい(そこで昨今の格差問題に関わってくるはずだが)。
そうして、より持続可能な食糧安全保障のため、もっとプラントベースな食料を―というところまでもっていくのは、うん、例えば90分講義2回くらいで、諸種のデータを示しつつ持っていけるかな。
ここまではかなり万人に同意可能な・理解可能な範囲と思う。
しかしここでAnimal Rebellionの派手な活動の映像なんかをSNSで見かけたりすると、そりゃあ、嫌悪の情が沸き起こるのも、そりゃあまあ…。
…だって日本人の相当部分を、思想や宗教度外視で激怒させるのに最も合目的的な手法って、食い物を無駄にする・食い物に対する敬意なく・食い物を凌辱すること、だろうから。
彼らは牛乳嫌いの子供ではなく、犯罪組織ANIMAL REBELLIONの一味。今回の犯罪行動では所属ヴィーガン学生らが集結。50人の逮捕者を出している。彼らの今年の重点標的は酪農。牛乳の流通・消費の遮断が目的。牛乳の物流センターを占拠したり、配達車をパンクさせたり、スーパーの牛乳を棚毎撒き散らす▼ https://t.co/3o9SmGjkGS
— 農業と食料の専門家/浅川芳裕 (@yoshiasakawa) October 11, 2022
UK: 'Animal Rebellion' activists emptied shops of milk across London.
— Apex World News (@apexworldnews) July 29, 2022
(UNN) pic.twitter.com/I1ctz0NyNB
Animal Rebellion's direct action at Harrods, Selfridges and Fortnums. Wasting food and creating more work for staff on minimum wage.
— Chris Rose (@ArchRose90) October 7, 2022
If football fans did this it would be seen as vandalism and should be the same with these ‘activists’.pic.twitter.com/iJtjMo3fg0
Police charge woman, 26, and man, 40, on suspicion of criminal damage after Animal Rebellion protest https://t.co/2Q7dVfNDvm
— Daily Mail U.K. (@DailyMailUK) October 9, 2022
え、これ、お金払ってんの…?!あたりから始まり、なんでそこらに牛乳、ぶちまけんの…?と。わけわからない、おかしいひとたち、というのが…まあ…そりゃあ…正直な感想になるよなあ…と…。
…こういった民族的と言うか、民衆的というか、民俗的というか…そんなハードルを越えて「Veganは倫理的に正しいのです!」と教育するのは、私はあまりの困難さに初っ端から放棄すると思う。そうじゃなく、フードロスを極限まで減らす、といった方向でアプローチすると思う。
忘れちゃいけないと思うんですが。
我々日本は、ついこの間までびんぼー国家だったんですよ? 一時的に飽食の国になりましたが、基本メンタルは節制・清貧・言霊と付喪神なアニミズム国家ですよ? 金満国の「いらないもの・あってはならないものはサクサク破壊・廃棄!」みたいなムーヴ、称賛する雰囲気を初手から期待するだなんて、そりゃあ無理だよ…。
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