●平成25年11月20日 最高裁判所大法廷 判決 / 広島高等裁判所の事件
★ 広島高等裁判所 平成25(行ツ)226 選挙無効請求事件 の 概要
平成25(行ツ)226 選挙無効請求事件
平成25年11月20日 最高裁判所大法廷 判決 破棄自判 広島高等裁判所
事件番号 平成25(行ツ)226
事件名 選挙無効請求事件
裁判年月日 平成25年11月20日
法廷名 最高裁判所大法廷
裁判種別 判決 結果 破棄自判
原審裁判所名 広島高等裁判所 岡山支部
原審事件番号 平成24(行ケ)1
原審裁判年月日 平成25年03月26日
判示事項 裁判要旨 平成24年12月16日施行の衆議院議員総選挙当時において,
公職選挙法(平成24年法律第95号による改正前のもの)13条1項,別表第1の定める
衆議院小選挙区選出議員の選挙区割りは,前回の平成21年8月30日施行の衆議院議員総選挙当時と同様に
憲法の投票価値の平等の要求に反する状態にあったが,
憲法上要求される合理的期間内における是正がされなかったとはいえず,
上記各規定が憲法14条1項等の憲法の規定に違反するものということはできない
★ 大法廷判決の全文 / 広島高等裁判所 平成25(行ツ)226 選挙無効請求事件
平成25年(行ツ)第226号 選挙無効請求事件
平成25年11月20日 大法廷判決
主 文
原判決を破棄する。
被上告人の請求を棄却する。
訴訟の総費用は被上告人の負担とする。
理 由
・・・・・
(7ページ)
このような状況において本件選挙区割りの下で施行された本件選挙について,本
件区割規定が憲法に違反するとして各選挙区における選挙を無効とすることを求め
る選挙無効訴訟が8高等裁判所及び6高等裁判所支部に提起され,平成25年3月
6日から同年4月11日までの間に,本件の原判決を含む17件の判決が言い渡さ
れた。そのうち,2件の判決においては,平成23年大法廷判決において憲法の投
票価値の平等の要求に反する状態に至っているとされた本件選挙区割りにつき,憲
法上要求される合理的期間内における是正がされなかったとはいえず,本件区割規
定は憲法の規定に違反するに至っているとはいえないとされ,その余の判決におい
ては,憲法上要求される合理的期間内における是正がされなかったとして,本件区
割規定は憲法の規定に違反するに至っているなどとされた。
・・・
(15ページ)
以上に鑑みると,本件選挙自体は,衆議院解散に伴い前回の平成21年選挙と同
様の選挙区割りの下で行われ,平成21年選挙より最大較差も拡大していたところ
ではあるが,本件選挙までに,1人別枠方式を定めた旧区画審設置法3条2項の規
定が削除され,かつ,全国の選挙区間の人口較差を2倍未満に収めることを可能と
する定数配分と区割り改定の枠組みが定められており,前記アにおいて述べた司法
権と立法権との関係を踏まえ,前記のような考慮すべき諸事情に照らすと,国会に
おける是正の実現に向けた取組が平成23年大法廷判決の趣旨を踏まえた立法裁量
権の行使として相当なものでなかったということはできず,本件において憲法上要
求される合理的期間を徒過したものと断ずることはできない。
(4) 以上のとおりであって,本件選挙時において,本件区割規定の定める本件
選挙区割りは,前回の平成21年選挙時と同様に憲法の投票価値の平等の要求に反
する状態にあったものではあるが,憲法上要求される合理的期間内における是正が
されなかったとはいえず,本件区割規定が憲法14条1項等の憲法の規定に違反す
るものということはできない。
投票価値の平等は憲法上の要請であり,1人別枠方式の構造的な問題は最終的に
解決されているとはいえないことは前記のとおりであって,国会においては,今後
も,新区画審設置法3条の趣旨に沿った選挙制度の整備に向けた取組が着実に続け
られていく必要があるというべきである。
(16ページ)
4 以上と異なる原審の判断には,憲法の解釈,適用を誤った違法がある。論旨
は理由があり,原判決は破棄を免れない。そして,以上説示したところによれば,
被上告人の請求は理由がないから,これを棄却することとする。
よって,裁判官大谷剛彦,同大橋正春,同木内道祥の各反対意見があるほか,裁
判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。なお,裁判官鬼丸かおるの意見が
ある。
裁判官鬼丸かおるの意見は,次のとおりである。
私は,多数意見の結論に賛同するものであるが,投票価値の平等及び国会の立法
裁量に関する考え方につき,多数意見と異にする部分があるので,以下に私見を述
べる。
・・・・・・(略)・・・
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