松本市梓川倭に鎮座される「岩岡神社」。御祭神は『瀬織津姫(せおりつひめ)神・建御名方神』。
『瀬織津姫神』は早瀬の穢れを清める祓神や水神等の性格を持つ、治水の神とされています。かってこの付近は、度々梓川の氾濫に見舞われ甚大な被害を受けていたと云い、そうした被害を免れる事を願って創建されたと云われます。
一の鳥居の先、左右より神域を守護されるのは、昭和11年(1936)3月建立の松本型狛犬さん一対。阿吽ともに子狛を抱いており、全てにおいて田近氏の狛犬と非常によく似ています。が、台座に名前が無く、作者は不詳とします。
吽形さんの仔狛は尾を高く上げて、毬の紐に噛り付いてやんちゃぶりを発揮。
阿形さんの仔狛は前足の間にすっぽりと収まって、大好きな親狛の顔を見上げています。
この仔たちが生み出された年は、歴史的な大事件「二・二六事件」の勃発した年であり、また一方では、ベルリン五輪で『前畑秀子』が日本人女性として五輪史上初の金メダルを獲得した年。そんな時代にこれだけの狛犬を生み出した作者・・気になります。
細目に編まれた注連縄が美しい二の鳥居
幣殿を兼ねた右片拝殿の付いた平入の拝殿
褄下彫刻は「飛鶴に松」。一杯に広げた羽と松葉の対比が美しい。
拝殿屋根の御神紋は御祭神に因んだ「明神梶の葉」
留め蓋の上で境内を見下ろす飾り瓦の獅子一対。流れるたてがみ、突き出した顎が力強く秀逸。
境内社
境内に鎮座する「磐座」は梓川の河床の下を通って「岩岡の火打岩」に繋がっていると云われています。
参拝日:2010年10月17日