tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

日本はなぜ経常黒字の国なのでしょう

2019年06月10日 23時56分47秒 | 政治経済
日本はなぜ経常黒字の国なのでしょう
 昨日はG20で経常収支の不均衡の多国間調整の問題が取り上げられたことを書きました。

 麻生議長がどういう意識でこの問題を取り上げたか解りませんが、恒常的に大幅な経常黒字を出している代表的な国はドイツ、日本などでしょう。

経常収支は、貿易収支・サービス収支、それに第一次所得収支(直接投資の利子配当の収支)からなるもので、日本が大幅黒字なのは、主として第一時所得収支の黒字が大きいからで、貿易収支やサービス収支は赤字のことも多いのが現実です。

トランプ流の解釈では、競争力が強すぎる、円レートが安すぎるといったことにいなるのでしょうが、これはきわめて単純な 見かけ上のものです。

もっと本質的な見方をすれば、アメリカのような国は、アメリカの国としての稼ぎであるGNI(国民総所得)より余計に金を使っているから当然赤字になるわけで、浪費型(キリギリス型)経済だから経常赤字(借金の増加)という事になります。

 日本のような場合は、正反対で、勤倹貯蓄型(アリ型)で、一生懸命稼いだGNIを毎年遣い残して貯蓄に回し、将来に備えているから経常黒字(貯蓄の増加)になるわけです。

 アメリカの政府や国民が、ベンジャミン・フランクリンの教えに忠実であれば、経常赤字の国にはならないでしょうし、日本人がもう少し楽天的になって、稼いだ分は、みんな遣おうと考えれば経常黒字は忽ちなくなるでしょう。

 国際競争力の格差とか、関税・非関税障壁の有無が、赤字か黒字かの原因だ、などと単純に考えていては、解決出来るものも解決できないといったことは十分ありうるのです。

 これから、日米間のFTA交渉も本格化するのでしょうが、赤字・黒字の原因が那辺にあるのかをよく考えることも大事ではないかと思いますので、随分以前に書いた問題を、また、改めて取り上げてみました。

消費税増税まで半年を切る:与野党は?

2019年05月15日 17時19分55秒 | 政治経済
消費税増税まで半年を切る:与野党は?
 副総理兼財務相の麻生さんは、先日、消費税増税はきちんとやらなければいけないという趣旨の発言をしておられました。
 財務大臣という立場ですから当然といえば当然ですが、政府自民党としてその方針が決まっているのかというと、我々には何とも解りません。

 政府与党としては、リーマン級の経済問題が起きない限り増税は実施ということになっていたと思うのですが、総理腹心といわれる萩生田官房副長官は、経済情勢は不安だとして、何かあいまいな発言を繰り返しています。

 この発言は、経済不振で消費税増税をやらないとなれば国民に信を問う必要があるということで、参議院と衆議院の「同日選」に主眼があるとの見方もあり、二階幹事長は総理の意向に従う(同日選について)といっています。

 過日も書きましたように、萩生田発言は総理の指示と受け取られているようですから、選挙の勝敗と消費税増税はセットになっているといいうことでしょうか。
 政府与党にとっては、恐らく財政再建より衆議院で安定多数を得る方が大事でしょうから、消費税増税の行方は皆目わからないということにもなりそうです。

 国民にとっては、社会保障の健全化を目指す消費税増税の方がどちらかといえばより重要な問題と思われます。
しかし、政府与党にとっては野党がこぞって「消費税増税反対」を言っていることは多分大変気になっているのでしょう。

 野党が一致して消費増税反対といっているのもよく解りません。
 消費税を増税して社会保障の充実を図るというのは、福祉国家のビジョンを大事にしていると思われる野党にとっては、本来望ましいはずです。
 反対するなら、消費税を社会保障以外に流用することに反対してほしいと思うところです。

 政府与党が、消費税増税をやらないといえば、与野党の主要な対立点が消えることになりますから、与党には魅力的なのかもしれません。

 結局、消費税増税は、選挙の道具にされているというのが見えるような気がしてくるのが現状ではないでしょうか。
本気で財政の再建、健全化を図り、社会保障の充実をベースに、日本経済のサステイナブルな安定発展を目指すという消費税増税の本来の理念はどこかに行ってしまっているように思われてなりません。

 日本がついて行こうとしているアメリカも、何か、国際関係も、経済政策も、金融政策もすべて来年の大統領選挙でトランプさんの再選を目指したものに収斂しているような印象を受けますが、どうしてこんなことになってしまったのでしょうか。

 選挙も政策も、すべて国民のためのより良い国づくりのための装置という長期的視点を見失っては本来のその意義が失われるように思うのですが、何か違ってきているように感じられるこの頃です。

国際経済情勢は混乱の度を強めるか

2019年05月07日 21時22分33秒 | 政治経済
国際経済情勢は混乱の度を強めるか
 令和元年のビジネス・ダイアリーは今日から本格始動です。
社会のインフレを担う方々は、「とんでもない、我々は5月1日からだよ」とおっしゃるでしょう。まさに「休まない人が支える10連休」ですね。

 ところで、株式市場は今日からです。
 連休中に日経CFDなどを見て、連休明けには21,500円に挑戦か、などと読んでいた方も多かったのではないと思いますが、世の中はままならぬモノ、トランプさんの「2000億ドルの輸入に関税25%」という対中強硬発言が出て、楽観的予想は消し飛んだようです。現実は厳しいですね、今日の日経平均は335円の下げになりました。

 まさかトランプさんは長く休んだ東京市場の開くのを狙ってツイートしたたわけではないでしょうが、突然のツイートで世界を混乱させて世界の注目を集めようというのも困ったものです。

 中国の方が冷静な対応をしているようにさえ見えますが、トランプさんが「早く点数を稼ぎたい」と急げば、中国も我慢も限界と先延ばしに出るかもしれません。
 いずれにしても思惑の駆け引きですから、合理的な判断などは役に立たない世の中になってきたようです。

 この先の展開がどうなるかは、トランプさんと習近平さんの頭の中にあるだけで、我々凡人には皆目見当もつきませんが、世界の二大経済大国がこうした状態にあるということは、経済学者の理論的思考や統計分析で、読むような経済社会の経験的法則性で、ある程度の予測も不可能ではないといった「まともな」状態ではないことになってきそうです。

 たとえて言えば、地震の予測のようなもので、アメリカの赤字、中国の黒字の動きを見ていれば、「いずれ何か起きる」とは予測されても、それがいつ起こるのか、明日なのか、3か月後なのか、はたまた、手打ちがうまくいって起きないのか、なんとも解らないということの似てくるようです。

 このようなことは、今後進められる日米交渉でも当然予測されるでしょう。アメリカのやることは、一生懸命やったTPPでも最後の最後で「ちゃぶ台返し」だったような、想定外が当たり前といったことになるのではないでしょうか。

 相手を(世の中を)不安にするのは、自分の発言や行動を相手に予測できなものにすることが往々効果的な戦術でしょうが、それは信頼関係とは全く相容れない異質なもので、信頼による絆を避けて、不安による支配を選択することでしょう。

 日本では、令和を良い時代にしたいと誰もが思っているのでしょうが、今日1日の感覚では、令和は、やっぱり難しい時代になりそうだといった感じはないでしょうか。

 国内でも、これから、消費税、同日選等々いろいろなことがあるかと思いますが、やはり令和には、「予断を許さない令和を過ごす新たな覚悟」が必要なようです。
 いささか悲観しすぎでしょうか。

中国GDP下げ止まる?

2019年04月17日 23時13分39秒 | 政治経済
中国GDP下げ止まる?
 今日17日、中国の国家統計局が、この1~3月のGDPの数字を発表し、対前年同期比の伸び率が実質6.4%と、前の10~12月期の伸び率と同じという事でした。

 かつて習近平さんが「ニュー・ノーマル(新常態)」として提示した7%には達していませんが、中国政府も様々な政策を講じている中で、現状、一応下げ止まったという事は、大いに良かったのではないでしょうか。

 このところ、中国経済の減速がいろいろと言われる中で何故か株式市場だけが比較的強い動きを示していましたが、またそれが勢いづくかもしれません。

 それほどに今では、全世界にとって中国経済は注目しなければならない存在という事でしょう。
米中交渉の行方が当事国である米中の実体経済にも大きな影響を与えるわけですから、あまりひどいことにはならないと予想しながらも、それぞれの関係筋が心配したり楽観視したりしながら注目しているという事でしょう。

 GMの車にしても、最大の生産は中国で2番目が北米という実態が象徴的に示しますように、アメリカの企業が中国に進出して、そこから収益を上げているという事も事実ですから、やはりアメリカとしても自分の首は絞めたくないという事もあるでしょう。

 中国も今回の日米交渉の中では、思いのほか大人の態度を示しているように感じられ、最大の問題である知的財産権の問題にしても、解決志向の行動をとっているように感じられます。

 客観的に見れば、自国の都合やリーダーのメンツといったことで世界経済の安定的な発展を阻害するといったことは、決して望ましいことではないでしょう。
 
 世界の二大超大国の問題ですから、何とか失敗のないような。トラブル・シューター同士の話し合いという形で進めていただければと思うところです。
 
 これから具体化する日米交渉についても、全く同じことが言えるのではないでしょうか。リーダーの知恵が問われているようです。

日米交渉で日本が言うべきこと

2019年04月15日 23時31分29秒 | 政治経済
日米交渉で日本が言うべきこと
 日米貿易交渉がいよいよ目前に迫ってきました。
 日本では政府が、「物品に関わる交渉」(TAG)だといっていましたが、これは日本政府が勝手に言っただけで、アメリカはFTAだとはっきり言い、さらに、日本に為替の円安誘導もさせないという事を言いたいようです。

 このところ、種々の問題で、アメリカの言うことは(トランプさんの言うことは)道理に叶わない事が多いようですが、日本政府としては(安倍さんとしては)世話になっているアメリカに顔を立てて差し上げなければいけないと思うのかもしれませんが、やはり、必要なことは、正論をきちんと述べる事ではないでしょうか。

 日本がアメリカの車を買わないのは(関税障壁はありませんから)非関税障壁を含め、アメ車を買わない様な政策をとっているといっても、日本人は誰も本気にしないでしょう。
 事実は単にアメ車に魅力がないからという事はみんな知っています。

 農産物問題で無理強いをしてくる可能性は大きいようですが、この問題をきちんと解決していこうというのであれば、アメリカはなぜTPPを最後の最後で蹴飛ばしたのでしょうか。アメリカ自身に責任はないのでしょうか。「二国間交渉なら力ずくで」と考えてのことではないですかといった問いかけも必要でしょう。

 為替問題で、円安政策はけしからんというのであれば、プラザ合意とリーマン・ショックで、ドル安、超円高状態を作り出した張本人はアメリカでしょう。黒田バズーカは単にアメリカと同じ政策をとって、円レートを正常な水準に戻しただけのことと言うべきでしょう。
 円安誘導をすべきでないというのなら、「固定相場制ならいつでも受け入れます」と日本は十分言える立場にあります。

 アメリカ(トランプさん)が困っているのは、アメリカの経済力が落ちてきているからで、例えば、アメリカがラストベルトの繁栄を取り戻そうというのならば、アメリカの鉄鋼産業をはじめとして金属産業を国際的に通用するものに再建するしかないのでしょう。
 
 自国の産業再建の努力をせずに、相手国に注文だけ付けるという行き方は、確かに多国間交渉では成り立たないでしょう(だから二国間に持ち込む)。
 加えて、ドル安の可能性だけを相手国に認めさせようなど迫るなどは、産業発展をしようと努力する国を叩いて、世界経済の発展を阻害する以外のなにものでもないでしょう。

 言い方は婉曲であった方がいいのかもしれませんが、世界経済社会の安定的発展の考えるとき、アメリカの昨今行動はかなりおかしいという事をアメリカに解ってもらわなければならないというのが一番のキーポイントではないでしょうか。

厚労省ばかり責められていますが(統計問題の蛇足)

2019年02月03日 14時28分07秒 | 政治経済
厚労省ばかり責められていますが(統計問題の蛇足)
 国会が始まって、統計問題も議論の的です。
 アベノミクスを応援するために毎月勤労統計の賃金を高くしたとかいった議論なでありますが、実際の経緯を見て来ますと、そんな意図的なものというより、 手違いで数字が低くなったのを何とか辻褄合わせをしなければと、やったことが裏目に出たという事のように思えます。

 厚労省を擁護する意図は全くありませんが、統計調査員の苦労を考えますと、抽出で良い所は抽出に早く変えるといった、状況に応じた制度変更がきちんとやられていれば、起きなかった問題でしょう。

 毎月勤労統計の続いて「賃金構造基本統計調査」も槍玉に上がっています。これは訪問して集めてこなければならないのに、郵送で済ませていたという事です。
 前回も触れましたが、実地自計、実地他計などという、人件費が安く、人手が余ってる時代の方法に相変わらず固執する「制度」の時代遅れが起した問題でしょう。

 デジタル時代に、毎度、調査員が時間をかけて、交通費を使って現地に行くなどという仕来りが未だ改められていないのです。
 何か、自動車の最終検査に似ていませんか。「資格のない人の検査でけしからん」と言いながら、「今走っている車は早く検査に行け」で済ます。つまりそれでもいいんだと半分認めているのです。(賃金構造基本統計調査でも「結果は正確です」と言っています)

  あの時も、「日本車は世界で一番故障が少ないと認められている」と書きましたが、いずれも、制度が現実の状況(技術革新も含め)に対応するように改められていないのです。
 本当に責められるべきは、現実に対応しない時代遅れのルールの方ではないでしょうか。QC活動や5Sをやれば、現状で最も正確、安全、効率的な方法が見付かるでしょう

 統計関係の制度の担当は総務省でしょうか。その総務省でも、小売物価調査(消費者物価統計の源)で調査員が、小売りの現場に行くのが面倒なので、前月の数字を書いて提出していたという事が発覚しました。

 面倒は解りますが、それは怠惰であり、統計が全くのウソになること知った上の行動でしょう。私が現役だった頃にもそんなことがあったのでしょうか、私は当時の「総理府統計局」を100%信用していましたが。

 統計調査員の人減らしもあるようです。国会や総務省でやるべきは、今の世の中で、最も良い統計を作るためには、社会情勢、技術革新も含め、いかなる制度設計をすべきかを早急に見定める努力ではないでしょうか。










統計不祥事の根底にあるもの

2019年01月30日 22時06分49秒 | 政治経済
統計不祥事の根底にあるもの
 国を運営する基本的なデータとなる統計で、統計の生命線である信頼性を揺るがすような問題が発生しています。
 日本の統計の信頼性や使いやすさは世界に冠たるものと思っていた私などには大きなショックです。

 統計の誤りは速く直さないと国政の根幹にさえ関わります。中には結果は正しいので大丈夫という説明のものもありますが、結果オーライではやはり今後が心配です。

 マスコミなども厚労省批判一色ですが(もちろん厚労省が悪くないとはいいませんが)、厚労省だけを責めてみても問題は解決しないでしょう。

 問題の根は大きく3つほどあるように感じています。
① 統計調査に回答する企業サイドの問題
② 統計調査を担当する官庁の現場の問題
③ 統計行政を元締めである総務省の問題
この3つが揃って初めて信頼できる統計の作成が可能になるのでしょう。

 第一の問題は、調査対象企業の問題です。督促しても回答してくれない企業が増える傾向にあるようです。基幹統計は回答しないと罰金が科されますが、回収に苦労していることは関係省庁の資料からもうかがえます(統計調査員に督促の権限を持たせよなど)。
 企業が手早く真面目に回答すれば、統計調査の生産性は大きく上がるでしょう。これは経団連をはじめとした経済団体などによる官庁統計には率先して積極回答すべしといった啓蒙活動も必要かもしれません。

 第二の問題は、統計調査員の専門誌を高めること。正確な統計が国の運営の基本であるという意識を徹底することでしょう。毎勤統計の今回の問題の核心は「サンンプル調査を全数調査として扱って(報告して)しまった」ことでしょう。
 統計についての確りした知識・意識があれば、それがどういうことか解るでしょうし、解っていれば、今回の様な事は起こりえないのではないでしょうか。

 第3の問題は、総理府の管轄と思いますが、デジタル時代の今も、紙と鉛筆、「実地他計」「実地自計」などという形がまかり通っている事のようです。
 オンライン利用による回収の効率化、回収率の向上などの論議はあっても遅々として進まないのは何故でしょうか。
 賃金構造基本統計調査でも、未だ「郵送が問題だ」になっている状態です。

 いちいち人間が行き来するのが最も手間もコストもかかるでしょう。抽出でも適切な結果が得られるのになぜ悉皆にこだわり続けるのか、やり易くしてもらえないのなら勝手に内々でやるか(試行の名目で)といったような、連携の不足による手抜きの誘発、それに統計の知識の不足が絡む、といった感じがどうしても拭えません。

 繰り返しますが、正確な統計は国家存立の基本です。政府も企業も、利用する方だけでなく、調査の段階に携わる方においても、この重要な「統計についての意識」をまず身に着けることが、統計に携わる基本ではないでしょうか。上記の三者の良好なコミュニケーションなくして、正確な統計は作成できないように思っています。

2019年春闘:労使の課題・政府の課題

2019年01月28日 18時23分43秒 | 政治経済
2019年春闘:労使の課題・政府の課題
 今日は経団連主催の2019「労使フォーラム」の第1日、いよいよ2019春闘もキックオフという所でしょうか。国会も始まりましたね。
 1月13日にも触れましたが、労使が本気になって頑張れば、日本の経済・社会はいくらでも良くなると考えています。

 その中心にある基本的課題は「生産性の向上」でしょう。そして、生産性向上は、労使が本気で手を染めなければ決して出来ない問題です。
 政府に出来るのは、そのための環境改善です。2019春闘では、いわゆる「官製春闘」が色あせてきましたが、それだけ労使の自主性、真剣さが見えてきたという事ではないでしょうか。

 経団連は「働き方改革」ではSociety5.0を掲げ、連合は、生産性3原則をモットーに、労使の協力により生産性の向上、そして、サプライチェーン全体への成果の適切な配分を謳っています。

 この所、社会のあらゆる面でAIなどを活用した技術革新の波が押し寄せていますが、これからのプロセスでSciety5.0の中身は次第に具体的に見えてくるでしょうし、産業社会の高度化の成果が、サプライチェーン全体に適切に配分されれば、格差の少ないバイタリティーに溢れたかつての日本型の成長社会の実現も決して不可能ではないでしょう。

 この際、政府に期待したいのは、「少子高齢化社会ペシミズム」を煽ることをやめ、すでに一昨年の春闘以来労使が踏み込んでいる「 少子高齢化をチャンスに変えよう」という姿勢を見習う事ではないでしょうか。

 その為には政府は「自分こそが正しい」と考える困った「思い込み」を卒業し、政府の仕事の顧客である国民、生産面では「産業の労使」、消費面では「生活者・家計」の意見を御用聞きのように良く聞くべきでしょう。そしてそれを最大限忖度して政策を考える、という態度が必要なのではないでしょうか。

 冒頭にも書きましたように通常国会も今日からです。しかし 働き方改革も、 財政再建・プライマリーバランス回復も、今の政府の方針ではとてもうまく行かないようです。
 国会で出てくるのは、総理に関わるモリ・カケの様な無駄な混乱、行政の忖度問題や不正や不注意によって発生する困った問題などなど、通常の神経では、これが国会?と思うような理解不能な問題での応酬など、日本経済・社会の成長発展とはまるで関係ないことだらけです。

 典型的な問題を1つ挙げれば、政府がいかに春闘に介入しても、1800兆円の個人貯蓄を持つ日本の国内需要不足による経済の停滞が一向に改善しないことです。
 なぜ国民が、家計が、消費をためらうのか、アベノミクスでは答が出ていません。
 政府には、賃上げ奨励ではなく、国民の本当の気持ちをよく聞いてほしいと思っています。

2:政治は荒れ模様、経済は片肺飛行、さて来年は?

2018年12月31日 22時11分03秒 | 政治経済
2:政治は荒れ模様、経済は片肺飛行、さて来年は?
 選挙公約に義理堅いトランプさんの行動は世界中に波乱を巻き起こしています。お蔭様で国際関係は先が読みにくくなり、ますます不安定化しそうで心配ですし、それがアメリカ経済にも世界経済にも影を落とす可能性が大きくなっています。

 さて、戦後最長の好況持続を目前にした日本経済ですが、12月に発表した政府経済見通しのようにいくのでしょうか。年末の株価暴落は何かの前兆でしょうか?

 政治の面では、今年に入って特徴的なのは安倍政権の強引さが目立ってきたことです。モリ・カケの強引な幕引き、行き過ぎた春闘介入、働き方改革は強行採決、さらにカジノ、外国人労働力受け入れと数を頼んだ強行採決が日常となってきています。

 一方に日米間の交渉事では、FTAをTGAと言い張って見たり、総理からは聞けないことがアメリカ側から次々と(戦闘機購入など)入ってきたり、女性閣僚が一人でも、3人分働いてもらえばいい(3人いるのと同じ?)と言ったり、最近では、バブル絶頂期の賃上げ率5%を経団連の会合で引き合いに出したり・・・、といった状態です。

 消費税増税では、本来、社会保障の充実、財政再建を目標とすべきところ、軽減税率で選挙の得票に重点を置き換え(?)たり、北方4島が還って来るとは国民も思っていないだろうと発言したり、突如としてIWCから脱退したり、国民に何も知らせないままに政治が動いていくのが当たり前になりつつあります。(これらは総てその都度、取り上げています)

 まさか、最後の3年だから勝手にやらせてくれというのではないでしょうが、真摯に丁寧に説明するという常套句は何処へ行ったのでしょう。

 こうした政治の多様な問題を孕みつつも、勤勉な国民の性格、企業労使の努力によって、日本経済は何とか低空飛行ながら安定した状態を保ってきました。
 国家財政は世界での最悪の部類ですが、アメリカ(リーマンショック)のように破綻しても、外国に迷惑をかけるようなことはありません。

 そして実体経済は弱いながらもなんとか自力の成長を続けています。ただ、問題は経済成長の中身が、投資中心で消費が委縮し、いわば投資中心の片肺飛行になっていることでしょう。

 バランスの取れた健全な成長路線に乗せるためには、消費の活発化が必要ですが、これは政府の勝手な思い込みから、なかなか実現に至りません。
 具体的に言えば、「将来不安が家計の財布のひもを固くしている」という事でしょう。

 政府の役割は、国民の将来不安の解消ですが、政府のやっているのは企業に賃上げをしろという毎年の春闘介入ばかりです。
 消費税増税による消費の落ち込みには異常に気を使う政府ですが、国民の将来不安に対しては、逆に、財政再建の約束を反故にする、年金支給を遅らせるなど、将来不安を煽るようなことばかりです。

 政府の巨大な借金に、金利の面でお役に立とうというのでしょうか、日本銀行はゼロ金利をいつまでも続け、金融機関は消耗し、国民は貯蓄が金利を生まない不胎化政策に泣いています。
 
 それでも国民の勤勉さに支えられて、何とか前進してきている日本経済ですが、アメリカ発の世界経済、日本経済へのマイナスの影響などが心配され、今回もまたアメリカ発か!といった事になる可能性も無きにしも非ずです。

 投資片肺飛行経済ではどうしても外国の需要頼み、輸出頼みになり、アメリカからの風当たりは強くなるでしょう。
 新年からでも、是非、国民の将来不安の払拭するような、国民が本気で頑張る目標を持てるような政策を、「国民の意見をよく聞いた上で」強行採決してください。多分その時は強行採決は必要なく全会一致になるでしょう。
 来年も主要な問題は、安倍政権の政治姿勢にあるようです。