tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

tnlabo’s blog 2007年度までのテーマ

2008年04月01日 16時58分07秒 | インポート
tnlabo’s blog 2007年度までのテーマ
2008年3月
アメリカ経済の過ち  付加価値の正確な理解を  円高か、ドル安か  バランスシート(貸借対照表)の原理  「労資」関係の復活?  政府の賃上げ要請  庭に来る小鳥たち  自己資本比率を見よう
2008年2月
<08労使交渉>選択:賃金引上げ、雇用改善  東京G7と世界経済  ジャパン・パッシング
労働分配率論議
2008年1月
<モノづくりと人づくり>その2:人材の活用  <モノづくりと人づくり>その1:モノづくり  アメリカ緊急経済対策の効果  付加価値率の数字  中国のインフレを読む  アメリカ経済への致命傷か  高付加価値経営と付加価値率 
2007年12月
2つの格差  経営計画の目標  地球温暖化防止の視点 
2007年11月
原油価格高騰と国内物価  パートの賃金水準  正社員の賃金  経済価値の基準 
2007年10月
不況に出来ないアメリカ  G7金融政策への視点  経営計画  不良債権の国際移転  経営と経済  日本工業倶楽部会館・炭鉱夫・織姫 
2007年9月
日本的経営  雇用ポートフォリオ  雇用の発生 
2007年8月
企業の目的  地価問題再び  株価急落  夏季休暇考  たまむし(玉虫) 
2007年7月
為替レートへの誤解 最低賃金への政府の介入 正社員不足 過労死・過労自殺 同一労働同一賃金 
2007年6月
ファンドの敗北  ブルドック対スティール  原油価格高騰とデフレ脱出  インターンシップの活用 
2007年5月
人材と人財  NPO「いたごち」と食育  ファンドの増配要求  アメリカ経済好調の秘密  個人情報と墓地  中国の最低賃金大幅引き上げ 
2007年4月
最低賃金論議  週休制の進展  ワークライフバランスに必要なもの  格差問題と諺  富士CALMの富士  2種類の物価 
2007年3月
就職氷河期から売り手市場へ  2007の春闘 
2006年2月
これからはじめます。何卒宜しく。  忘れられた付加価値  困った「資本原理主義」


アメリカ経済好調の秘密

2007年05月08日 22時54分05秒 | インポート

アメリカ経済好調の秘密

 日本経済は、長期低迷を脱して史上最長の好況ということになっていますが、アメリカ経済にはとてもかないません。アメリカ経済は、グリーンスパン連邦準備制度理事長の絶妙といわれた金融政策に支えられ、さらには当初危ぶむ声もあったバーナンキ議長の下でも相変わらず好況を続けています。

 今年の暮れには低迷の可能性もなどといわれましたが、このところまた強気が目立ち、株価の史上最高をマークしているようです。

 経済運営というものはやりようによってそんなに巧くいくものかと感心したり、日本でも出来るのかな、出来るならぜひやってほしいなどという希望もあるようですが、よく考えてみるとアメリカの好況は、どうもアメリカしかできないもののように思われます。

 理由は簡単で、通常、経済が好調であることの最大の条件の1つである「国際収支の健全性」(黒字基調であること)がアメリカでは必要ないことになっているからです。

 通常は家庭でも国でも、支出が収入を上回ったら「これは大変だ」と生活を引き締めます。つまり不況になります。理由は生活費が払えなくなるからです。ところが、アメリカは巨大な国際収支の赤字を積み上げながら、繁栄を続けています。なぜでしょうか。

 アメリカでは、「アメリカが赤字になれば、どこか他の国が黒字になっているはずだ。その黒字がアメリカに還流すれば、アメリカは使う金に困らない。」と考えられているようです。

 確かに、かつて対米大幅黒字の日本も、現在大幅黒字の中国も、アメリカの国債(財務省証券)をたくさん買っています。つまり、喜んで黒字分をアメリカに貸しているのです。当面返してもらうつもりもないようです。返してもらっても代わりにどこで運用するか困るからです。

 赤字でも、資金繰りに困らないから、どんどん需要(消費や投資)を刺激して好況を維持する。これなら経済政策もかなり簡単なものになるようです。

 

 


ワークライフバランスに必要なもの

2007年04月21日 12時38分19秒 | インポート
ワーク・ライフ・バランスに必要なもの
 この2-3年「ワーク・ライフ・バランス」という言葉がはやっています。もともとが英語ですから欧米から輸入された言葉ですが、日本語で言えば、「仕事と生活のバランス」ということになります。
 欧米各国でも、この問題は少子化と一緒に論じられる場合が多いようで、「働きながら十分子育てが出来るような労働時間や仕事の仕方が必要」といった形で論じられます。そこから企業に対して「育児休業」とか「子育てのための休暇制度」とか「男性も育児休業を取りましょう」とかいった形で、仕事が家庭生活を圧迫しないようにしましょうといったキャンペーンや法律制度の導入になっているわけです。
 ところで、これが日本に来ると、もっとも大きな問題は、昔から指摘されている「長時間労働」をどうするかといったことになってきます。
 もともとワーク・ライフ・バランスは「社会のための仕事の時間(欧米では所得を得るための時間というかもしれません)」と「自分としての私的な時間」とのバランスをどうとるか、という問題でしょう。日本人はこのバランスのとり方が下手です。放っておけばどんどん仕事のほうに傾斜していってしまいます。仕事は社会のためだという大義名分の安心感があるからでしょうか。
 政策として「ワーク・ライフ・バランス」を掲げている官庁や労働組合や経済団体のエリートたちは、「5時になったから失礼します」などといったことは考えられないようで、男性女性を問わず、夜中まで仕事をすることに生きがいを感じているようです。
 日本人のこの仕事に対する真剣な態度は、大変大事だと思います。自分中心ではなく、社会の役に立つことのほうを重視しようという素晴らしい考え方です。だからといって、その負担を全部家族にかけてしまっているようでは、本当のワーク・ライフ・バランスは取れていないということでしょう。
 良いワーク・ライフ・バランス実現には、法律や制度も必要でしょう。しかし最後の決め手は、それぞれの個人が、仕事の意義と、自分を含めた家族の生活とをいかに適切に判断するかという個人の意識の問題に帰着しそうです。
 人間としてどう生きるか。そのための適切なバランス感覚を養うような、人間としてのバランスの取れた教育が必要なようです。
 
 
 

格差問題と諺

2007年04月07日 10時24分28秒 | インポート
格差問題と諺
 かつては1億総中流と自称し、ノルウェーに次いで世界で2番目に格差の少ない国といわれた日本で、このところ、国民の所得格差が広がっているといわれます。
 たしかに累進課税は大幅に縮小されたし、このところ非正規雇用も増加したし、所得の減少する高齢者が増えたりしているからそのとおりだと感じます。
 その中でも特に指摘されているのは非正規雇用の増加の問題のようですが、これは日本経済の力強さの回復で、行き過ぎの是正は進みはじめているので、行方を見守りたいところです。
 それはそれとして、本当に問われているのは、格差社会に対する日本人の意思と取り組みではないでしょうか。
 日本には昔から素晴らしい諺がありました。 「稼ぐに追いつく貧乏なし」です。
 この諺を呟きながら、頑張り抜いた日本人は、たくさん、たくさんいるはずです。 「働けど、働けどわが暮らし楽にならざり、じっと手を見る」とうたいながら、啄木も頑張ったのでしょう。「1人口は食えなくても、2人口は食える」という諺は、貧しくても結婚し、所帯を持って2人で頑張れば何とかなるという励ましです。
 昔の日本は貧しかった。そのなかで努力して頑張ろうということを、諺は教えていたのでしょう。
 それに対して、今の世の中はというと、マスコミが書き、評論家が言うのは「ワーキング・プアー」といった言葉です。この言葉には夢も希望もありません。「偉い人もそういうのだから、オレ/ワタシが貧しいのは世の中のせい」という認識を広めるだけです。
 格差問題の解決に、法律や制度も必要でしょう、しかし最後の決め手は国民一人ひとりの意思と取り組みです。そのためにも、百年、千年の人間の知恵の結晶である諺を軽んじてはいけないと思うのですがいかがでしょうか。

富士CALMの富士

2007年04月03日 14時12分53秒 | インポート
富士CALMの富士山
 先日、山梨県富士吉田市の「人材開発センター:富士研修所」(通称 富士CALM)というところにいってきました。
 この研修施設は、日本経団連関係の企業の従業員のための研修施設ですが、研修の少ない週末などは、家族やグループのレジャー基地、ゴルフ基地などとしても使えるようです。
 着いた日は曇りでしたが、翌朝、朝早く窓を開けると、巨大な富士山が五合目あたりまで雪をかぶって眼前に迫ってきて、まさに圧倒される思いでした。富士山という山はこんなに美しかったのかと改めて感じた一瞬でした。
 富士CALMからの富士山の美しさは、知る人ぞ知る有名なもので、「今週の富士」「リアルタイム富士」などネット配信されていて、CDにもなっており、富士CALMで検索すれば出て来ます。
 ここからの富士山がなぜそんなに美しいかというと、それは左右に稜線がすっきりと延び、それが全く綺麗な対称形をなしているからのようです。まさにバランスの美しさです。
 この研修所をここに建てたのにはそれなりの由来があるそうで、昭和40年代の初め、この研修所の初代所長になった二宮尊徳(因みに本名)という方が、用地を探して富士山の周りを一周し、その結果、ここが一番美しいと感じて、地主の方々にお願いして、用地取得が出来、研修所が出来上がったとのことです。
 ところで、地図でみるとわかりますが、富士CALMの隣は、富士浅間神社で、この神社は富士山のご神体であるコノハナサクヤヒメ(木花咲耶姫)を祀り、昔は、富士山の登山道の吉田口はここが基点だったようです。
 その昔、千数百年前、われわれの先祖が、ここからの富士山を仰ぎ見て、その美しさに感動し、その場所にコノハナサクヤヒメを祀る神社を建てたのでしょう。富士山の美しさも、それを美しいと感じる日本人の心も、変わっていないようです。

2種類の物価

2007年04月01日 20時04分13秒 | インポート
2種類の物価 物価には、大きく分けて2種類あるような気がしている。
1つは、その値段で買って、自分で使うつもりで買う価格
2つは、その値段で買って、値上がりを待って売るために買う価格
 100万円の絵を買って、自分の部屋に掛けて、毎日見て楽しんでるのは前者、100万円で絵を買って120万円になったら売ろうと考えるのは後者。
 食料品や日用品を買う場合は大体前者、株を買う場合は大体後者。しかし株の利回りが定期預金よりいいから、ということで配当をもらうために株を買う場合は前者ということだろう。
 会社の株を買い占め、子会社にして経営を改善し、シナジー効果も含めてグループの業績を上げるのは前者、会社の株を買い占め、配当をあげさせて、株価が高くなったら売り逃げるというのは後者。
 土地を買い、開発して付加価値を高め、分譲して利益を上げるのは前者、土地を買い、値上がりを待って転売するのは後者。
 前者の場合の価格を収益還元価格といい、後者の場合の価格を投機価格という。前者で得た利得はインカムゲインといい、後者で得た利得をキャピタルゲインという。
 日本人はインカムゲインは「額に汗したカネ」といい、キャピタルゲインは「あぶく銭」といって区別してきた。アメリカはこの2つをなるべく区別しないような金融制度や会計制度、さらに経済価値観を世界標準にするよう努力しているように見える。

就職氷河期から売り手市場へ

2007年03月27日 22時30分15秒 | インポート
 新聞が初任給上昇を報じている。それだけ新卒の求人が活発になったということである。つい先年までの就職氷河期が嘘のようだが、この変化は、学生だけでなく、日本の経済社会全体にとって、喜ぶべきことである。
 新卒求人というのは金融機関など一部の業種で往々行き過ぎがあって、問題にもなったりするが、少なくとも、新規学卒の就職が思うにまかせないといった状況に比べれば、格段に結構なことである。
 企業が新卒採用に力を入れるということは、それだけ若い人材を必要としているということであり、人材を必要としてるということは、採用したら、彼らを育成し、企業に、そして社会に役立つ人間に育て上げていくという決意を背景にしたものに他ならない。
 確かに企業は従来、採用した新卒には、社会人としての生き方の基本を教え、技能技術、専門知識の教育訓練を行い、場合によっては家庭教育や学校教育で不十分だった、社会人としての生活の基本的ルールまで教えてきた。
 残念ながら、異常な円高とバブルの崩壊によってもたらされた失われた10年、15年の中で、企業はコストの削減に自らのサバイバルをかけ、その間、採用も、教育訓練も出来ないでいた。この状況がやっと変わって、採用の復活、教育訓練の復活が現実になってきたである。
 企業のこの行動変容は、フリーターやニートの増加というこのところの傾向にも変化をもたらすだろう。求人の増加は格差社会に進行にもブレーキをかける可能性もある。企業の行動変容を見守りたい。


困った「資本原理主義」

2006年02月23日 23時37分14秒 | インポート
 ライブドアもとうとう整理ポスト行きのようですね。
 ライブドアに限らず、このごろ「お金でお金を稼ぐ」ビジネス(?)がはやります。
 こうしたビジネスは、何か「本当の企業のあり方」とは違うという感じをお持ちの方は多いと思います。だから「虚業」などといわれるのでしょう。私もそう思います。
 では「本来のビジネス」、「本当の企業のあり方」とは何でしょうか。
 歴史的に見れば、企業というのは、人間が自分たちの生活をより豊かに、より便利にするために発明した「仕組み」、つまりシステムということでしょう。
 企業の代表的なものである株式会社、大勢の人からお金を集め、人間(労働力)もたくさん集めて、たとえば、蒸気機関の発明を利用して、鉄道や紡績工場を作り、社会を便利に豊かにする。蒸気機関が電気やガソリンエンジンになっても、機械がメカトロニクスになっても同じです。
 世の中は企業の努力と発展のおかげで、ずいぶん豊かで便利になりました。この源は企業の作る付加価値です。国全体合計すれば、それはGDPです。企業の作る付加価値が増えればGDPが増える、つまり経済成長です。
 これが企業の本来の役割ではなかったのでしょうか。
 ところが、ライブドアの時価総額が最大になっても、村上ファンドの運用資金が何倍に増えても、GDPには全く関係ありません。起こっていることは、豊かさが、ライブドアや、村上ファンドの手に移転していくだけです。これが「お金でお金を稼ぐビジネス」の実体です。
 眼中にお金しかないビジネスは「資本主義」ではなく「資本原理主義」でしょう。「資本原理主義」の横行は困ったことです。◇

忘れられた付加価値

2006年02月12日 18時19分22秒 | インポート
 かつては企業活動の成果として付加価値が注目の中心でしたが、最近は、売上や利益、時価総額、キャッシュフロー、などの方が良く目に付きます。

 企業の役割というのは、付加価値を作り出して、それによって、社会を豊かに快適にすることですから、その基本的な指標である「付加価値」をもう一度、思い出して、注目するようにしたいものです。

 そんな視点から企業経営の意味を見直していきたいと思います。

 この視点を中心に、いろいろ書いていきたいと思いますが、ご興味やご疑問をお持ちの方からの意見を歓迎します。