tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

$1=¥80で「第2のいざなぎ越え」体制を

2012年06月19日 12時03分13秒 | 経済
$1=¥80で「第2のいざなぎ越え」体制を
 ギリシャの緊縮派勝利で、ユーロ問題は小康状態という事になりましたが、早くもスペインの金利上昇など不安・トラブルの種は尽きません。
 メルケルさんドイツは不本意でしょうが、結局ユーロ圏は、ドイツの黒字で、赤字国の穴埋めをするという構図がまだ続くのでしょう。

 世界全体で見れば、アメリカ以下の赤字国の赤字の穴埋めを日本をはじめとしたごく少数の黒字国で負担する構図は基本的に変わらないでしょう。世界の国際収支はゼロサムなのですから。

 この穴埋めを日本はこれまで「円高」という形で負担してきました。これはいわば、頑張った挙句がゼロ・マイナス成長という形の『なし崩し』の負担で、いくら負担したかがはっきりわかりません。

 これから日本としてやらなければならないことは、「これ以上の円高は日本経済の破綻」という意識が定着した中で、あらゆる手段を使って$1=¥80水準を死守し、「いざなぎ越え」の時期程度の経済の安定(回復)を取り戻すことではないでしょうか。
 世界各国の通貨政策の歴史と現状を見れば、そのための方法が皆無でないことはおのずから知られるはずです。

 いざなぎ越えの時期の円レートが$1=¥120とすれば、80円は5割の円高です。この4年でそれに見合う国民経済生産性の向上があったとは言えませんが、企業は必死で、80円でのサバイバルの努力をしています。その努力に報いるためにも、政府・日銀にはどんなショックがあっても80円を守ってほしいものです。また××ショックで突如70円とか60円などという事は、もう許されないと肝に銘ずるべきでしょう。

 80円死守が可能になれば、「いざなぎ越え」に似た日本経済を再度実現することは可能でしょう。生産性を上げてもその成果は円高で日本企業に帰属せず、海外に流出してしまうような事態は回避され、努力の成果は日本企業に、日本の労働力に帰属することが可能になります。
 
 それこそが正常な経済活動の在り方でしょう。その上で赤字国への援助が必要であれば、金額や条件を明確にして、公式に援助すべきでしょう。円高でなし崩しに援助というのは最悪です。援助した方も援助の実感がありませんし、受けた方も、受けた有難味を感じません。

 「経済にタダの昼飯はない」と言われますが、ただの昼飯を当たり前のように食べている国と、働きながらそれに応じた昼飯が食えない国があるという構図が、今回のユーロ問題ではっきりしてきました。
 これが、国家間の争いに発展する前に、経済の段階で解決する知恵を人類は持つべきでしょう。第二次世界大戦に至る失敗で学んだことを、改めて思い起こすことも大事ではないでしょうか。