新型コロナ禍と雇用問題への対応
新型コロナ禍が急激に実体経済に深刻な影響をお及ぼし始め、企業の雇用問題への対応が大変大事な問題になっています。
アメリカほど酷くないにしても、既に職を失った方も多い事がマスコミで報道されておりますし、これは業種、企業、職種によって、深刻度が大きく違います。
例えばいわゆるインバウンド関連業界、営業自粛を要請されている業界、各種のイベント関連などの業界などは、即座に大変です。
勿論、製造業の機関業種でも、輸出、国内需要ともに落ち込みは明らかで、問題は、これがいつまで続くかが、ほとんど見通しの立たない状態だという事でしょう。
そうした中でも、特に非正規従業員の方の受難が多い事は広く知られたところですが、最も深刻なのは家計を担う立場にありながら、非正規のゆえに職を失うといった場合でしょう。
政府も地方自治体も、種々な形の現金給付などで、個別の家計、業績悪化の中小企業などへの支援の方針を打ち出しています。そうした中でも特に社会の安定のために必要な「雇用の維持・継続」を目指したものは「雇用調整助成金」でしょう。
これは過日も書きましたように、企業が雇用保険の上乗せ分として拠出したもので、運用を政府に委託しているものです。
不況で既定の賃金が払えないような状態になった時「雇用調整助成金」という事でその半分とか3分の2などの金額を助成するものですが、今回は最大9割まで助成することになったようです。
この「雇用調整助成金」の目指すのもは、不況、経営不振といった現象は、いずれ一時的なものだから、その間何とか解雇せずに、雇用継続を援助して、雇用の安定を図るという、従業員という立場の継続安定、つまり雇用重視の姿勢を示すものと言えます。
経営者が雇用安定を良しとして、拠出金を出すという事は、この制度を創設した当時、日本の経営者は、こうした基金を持つことによって、雇用の安定を図ることが日本の経済社会の安定にとって望ましいことと判断していたからでしょう。
これは本来、 日本的経営の原点「長期的視点に立つ経営」「人間重視の経営」の二本柱に則ったものと言えましょう。
しかし、その後は、平成の「長期円高不況」の中で、企業は賃金水準準が低く、解雇の容易な非正規従業員を増やさざるを得なくなりました。
そして、残念ながら企業は2013~14年円レートが正常化し経済が正常化しても、従業員の雇用の安定より、コストの抑制、人件費の変動費化という安易な方向を選び、雇用の安定で社会の安定を支えようという理念(社会的責任感)を忘れたようです。
これに対して政府も、「雇用の流動化」を促進しようという「働き方改革」などという方針を打ち出し、雇用の不安定化を欧米並みに促進しようという事に、今まさになって来ていたところです。
そうした日本的経営の伝統無視の方向を選んだことへの「反省を強いる」かのように、新型コロナ禍が起きたのです。
こうした事態に、最も柔軟ない対応できる雇用システムというのは、それぞれの雇用の現場、つまり企業で、労使が真剣に雇用の安定についての努力をし、経済経営状態と処遇水準をぎりぎり話し合い、出来るだけ「官に頼らない」努力をし、政府、自治体の負担を軽くする(つまりは国民負担を軽くする)という経済社会の在り方でしょう。
かつて、「労使は社会安定帯」と誇りを持っていた日本の成熟した労使関係は今どこへ行ったのでしょうか。
所詮政治家は雇用問題には素人です。労使を軸にしない雇用政策は、社会の安定にも、いつか来る経済の回復期の雇用の在り方にも効率的に貢献し、日本経済のスムーズな回復を支えられるかどうか、大変心配になるところです。
新型コロナ禍が急激に実体経済に深刻な影響をお及ぼし始め、企業の雇用問題への対応が大変大事な問題になっています。
アメリカほど酷くないにしても、既に職を失った方も多い事がマスコミで報道されておりますし、これは業種、企業、職種によって、深刻度が大きく違います。
例えばいわゆるインバウンド関連業界、営業自粛を要請されている業界、各種のイベント関連などの業界などは、即座に大変です。
勿論、製造業の機関業種でも、輸出、国内需要ともに落ち込みは明らかで、問題は、これがいつまで続くかが、ほとんど見通しの立たない状態だという事でしょう。
そうした中でも、特に非正規従業員の方の受難が多い事は広く知られたところですが、最も深刻なのは家計を担う立場にありながら、非正規のゆえに職を失うといった場合でしょう。
政府も地方自治体も、種々な形の現金給付などで、個別の家計、業績悪化の中小企業などへの支援の方針を打ち出しています。そうした中でも特に社会の安定のために必要な「雇用の維持・継続」を目指したものは「雇用調整助成金」でしょう。
これは過日も書きましたように、企業が雇用保険の上乗せ分として拠出したもので、運用を政府に委託しているものです。
不況で既定の賃金が払えないような状態になった時「雇用調整助成金」という事でその半分とか3分の2などの金額を助成するものですが、今回は最大9割まで助成することになったようです。
この「雇用調整助成金」の目指すのもは、不況、経営不振といった現象は、いずれ一時的なものだから、その間何とか解雇せずに、雇用継続を援助して、雇用の安定を図るという、従業員という立場の継続安定、つまり雇用重視の姿勢を示すものと言えます。
経営者が雇用安定を良しとして、拠出金を出すという事は、この制度を創設した当時、日本の経営者は、こうした基金を持つことによって、雇用の安定を図ることが日本の経済社会の安定にとって望ましいことと判断していたからでしょう。
これは本来、 日本的経営の原点「長期的視点に立つ経営」「人間重視の経営」の二本柱に則ったものと言えましょう。
しかし、その後は、平成の「長期円高不況」の中で、企業は賃金水準準が低く、解雇の容易な非正規従業員を増やさざるを得なくなりました。
そして、残念ながら企業は2013~14年円レートが正常化し経済が正常化しても、従業員の雇用の安定より、コストの抑制、人件費の変動費化という安易な方向を選び、雇用の安定で社会の安定を支えようという理念(社会的責任感)を忘れたようです。
これに対して政府も、「雇用の流動化」を促進しようという「働き方改革」などという方針を打ち出し、雇用の不安定化を欧米並みに促進しようという事に、今まさになって来ていたところです。
そうした日本的経営の伝統無視の方向を選んだことへの「反省を強いる」かのように、新型コロナ禍が起きたのです。
こうした事態に、最も柔軟ない対応できる雇用システムというのは、それぞれの雇用の現場、つまり企業で、労使が真剣に雇用の安定についての努力をし、経済経営状態と処遇水準をぎりぎり話し合い、出来るだけ「官に頼らない」努力をし、政府、自治体の負担を軽くする(つまりは国民負担を軽くする)という経済社会の在り方でしょう。
かつて、「労使は社会安定帯」と誇りを持っていた日本の成熟した労使関係は今どこへ行ったのでしょうか。
所詮政治家は雇用問題には素人です。労使を軸にしない雇用政策は、社会の安定にも、いつか来る経済の回復期の雇用の在り方にも効率的に貢献し、日本経済のスムーズな回復を支えられるかどうか、大変心配になるところです。