私事にて~木犀と錆釘~
昨日夕方仕事が終わった工場の裏に出て見ると、其処ら辺り、仄かに匂う木犀の香りに気付く。猛暑に辟易とした今年の夏も完全に終息したこの盆地の我が住む町に、本格的な秋を告げるひと言のpoemのように訪い来た季節の使者を心から歓待。
そうだ!!この秋を仏壇に居る父母やご先祖様にもお裾分けしようと思い立ち、早速鋏を取りに戻って花付きの枝を玄関用と仏壇用に5~6本切った。その花を手に木製の階段を下りようとしたその時、上から二段目の足掛けの横木が腐食でずり落ちたのだ。弾みで梯子に仰向きで転ぶ。と同時に左足の裏に鈍い痛みが走る。剥き出しになった梯子を支えていた錆びた釘を履物諸共に踏み抜いたのだ。
一瞬の出来事。当に”好事魔多し””後の祭り””後悔先に立たず”色々な諺が頭の中を駆け巡る。左足の土踏まずの上部からの出血。木犀の枝を拾い、急いで家に戻り、元保健婦の女房に消毒してもらいリバテープを貼って出血を止める応急措置を施してもらう。
来週から陸中岩手の旅に出る予定なので、万が一”破傷風”にでも成ったら困るから市立病院を受診して!!と言う看護師免許持ちの女房の言に頷いて、そうと決めれば”善は急げ”だ!と翌日、詰まり今日10/16午前中に「整形外科」を受診してきた。
10時半に出発して順番を待つこと2時間。これは”待つ”と言う精神修行なのだと自分に言い聞かせながら、ひたすら自分の名前が呼ばれる時を・・。その間に仕事を終えた女房が11時半ごろに来てくれて一緒に待ち時間に付き合ってくれる。
12時半、診察室2の部屋に入り事情を聞かれた後、”金属片などが残っていたらそれこそ大変なことになる”と先ずは幹部のレントゲンを。再び受付にまわった後呼び出されたのが13時半。レントゲンに異常はなかったので、診察室で患部を少し切って浄水で洗い傷の手当てをして包帯を巻いてくれる。その部分麻酔の痛かった事。此処で声を出しては沽券に係わると我慢したのだが、5秒が10秒20秒にも感じる時間の長さだった。
それから、念のためさらに”破傷風”のワクチン接種を受けることに。一回目から三週間後に二回目(予約を入れてもらう)、それから半年後に三回目を摂取するようにとの仰せに頷いて解放されたのが、既に午後2時前になっていた。
初診料、診察、レントゲン、小さい手術、ワクチン接種と続いた治療。会計窓口に立って支払いと処方箋を受け取った女房に金額は?と聞いて見ると、何と「¥880」とのことで、幾ら後期高齢者の保険証を提出したとは言え、流石にその安さに驚く。
日本の高度な医療制度をつくづく有難いと思うと同時に、この高齢化社会、医療福祉に必要な予算が鰻上りになるという事実も、身をもって感じた次第であった。衆議院選挙が告示され、候補者は我こそは!!とばかり耳障りの良いことを絶叫しているが、我々は冷静に国の有り様とそのための予算の有り様を見極めなければならないと改めて思う。これは、若しかしたら”怪我の功名”で大事なく病院を後にできたのは”不幸中の幸い”だったと言えるのかも知れない。
今日はお風呂を控え、傷が塞がれば明日には包帯も取れ、朝昼夜一錠の薬を三日間完服すれば大丈夫でしょう!!との医師のお墨付きをもらい、午後2時過ぎから院内レストランで昼食を済ませ帰宅は2時半を回ったが、結果が良好だったので、今回の小さな騒動も一種の”warp”だったと・・。
R62024 10/16 10:42pm まんぼ