二重生活
僕は今、住み慣れたSH(second-home)の居間の大きなペアガラスの窓の前に座り、孫が置いていったチャイルドdesk(30縦×60横×22高)の上に、備え付けのmemo用紙を開き、残っていたHB(僕の子どもたちが使い古して長さが半分に減った)の鉛筆を握って、予報通りの小雨が降り続く午後の、それでも充分過ぎるほどの明るさに手許を保証されながらこの原稿を書いている。
火曜日の朝に(05/22)造園業者が二人最終の外構工事の仕上げにやって来た。二週間も何の音沙汰もなしに。痺れを切らして建築を依頼した工務店の下請けの工事会社の営業にTELしていた途中で彼らはやって来た。聞けば連絡を忘れていたと・・。ただ唖然となる為体ぶりではないか!!
まあ、其れは腹に収める(僕の度量を図られると考えて)として、とにかく二人の見慣れた業者は手際よく最終作業を熟し、夕方にはすべての仕舞いを終えて帰って行き、少しトラブルはあったものの、ついに念願のFH(fast-home)はようように設計図通り、思い描いたマイホームの完璧な姿で陽の目を見ることになった。
僕はSHとFHの二軒の住まいを持つことになった。生活を支えてきたこの仕事を後4~5年は継続すると決意している僕は、従って、孫2人を保育園に送った後は、残りの一日の昼間の殆どを(否応なくと言えなくもないが)このSHを起点にして動いていることになる。此処で荷物を積み、此処に荷物を下ろし、洗い、乾燥しアイロン仕上げを施す。そうして5時を回り、孫たちの迎えの時間が遣って来るまで古家に隣接する工場に籍を置くという二重生活を送っていることになる。
暫くの間、何やかやの忙しさによる疲弊気味の心身状態に紛れて中断していたウオーキングも、いつも通りの時間に何時ものルートで再開し歩数計に5000を刻んで、生活全般にわたって正常に戻りつつあることを実感している。
4月上旬の引っ越しから40日が過ぎてFHが完成。その間じゅうもSHの片付けと掃除、残りの荷物をFHに移動。一日仕事をこなしながら2軒の住まいの模様替えを並行して行い、夕方から夜と朝の初めまでの賑やかさ(何せ7人家族なのだ)にどっぷりと浸った後は、100%僕の好みに合わせたSHで仕事と休憩という「二重生活」を共存させることで、僕はどちらの居場所に居ても其処で充電し、鋭気を養い、活力を充填して一日を始められる。
当分の間は続くだろう此の生活の中に、日々を生きる楽しみや愉しみを数多く見つけ出してゆきたいと想う。FとSのHを持てるという幸いに恵まれたのだから、その環境を満喫しない手はない。多分そのように二つの起点を持つことで齎される哀楽も比例して増えるに違いないのだから・・。
小雨にしっとりと濡れて、纏う紫の神秘性を弥増す花を眺めながら、胸の裡を去来する由なしごとを一編の随想として書き下す昼下がりの僕、マンボである。
2018 05/23 14:37 まんぼ