蚕のように
たった四コマで表現されてしまう
そうして
それで充分の一生もあれば
朗朗と歌い継がれる
大河の人生もある
けれど
その他大勢の営みは
もしかしたら
一幅の風刺画にもならず
百巻の物語の
まえがきの数行で語り尽される
生滅の吐息でしかない
けれど
それで良いのだ
其其の夫夫に価値は在って
それ故生かされ
その各各に
詩の種が内包されている
それは又
大勢の他人や
長編で語られる偉人や
光彩を放つ恒星のように
煌きを残してゆく傑人には
理解の他の現実だが
それでも実は
この世界は
そういう
名もなきpeople達が
蚕のように
吐き出す数多の哀楽で成り立ち
その情感の繭の糸で
艶やかに紡がれてゆくのだ