守田です(20181006 23:30)
● いまもなお放射性物質の意図的海洋投棄が行われている。
放射能汚染水問題の続編です。
この問題で東電は、福島原発サイトに作られた汚染水タンクに貯められたトリチウムなどを含む汚染水の海洋投棄を行おうとしています。
とても許すことができませんが、しかし前回の記事で僕は、あたかも東電がこれから放射能汚染水を海に投じようとしているような言い方をしていることに騙されてはいけないと書きました。
汚染水の海への流し込みはこれまで膨大に行われてきたし、いまも一部のものが意図的に流されているからです。
意図的にとは原発の周りの「地下ドレン」「サブドレン」、さらには山側に掘られた「地下水バイパス」から汲み上げられたものの海洋投棄が続けられていることです。
トリチウムであれば1リットルあたり1500ベクレル以下、セシウム134,137であれば1ベクレル以下、全ベータ核種なら「地下ドレン」「サブドレン」は3ベクレル以下、「地下水バイパス」では5ベクレル以下が捨てていいとなっています。
● 汚染水はメルトダウンした核燃料と地下水が触れて作られると言われているが・・・
さて今回、これらのデータを分析していて重大な問題に突き当たりました。特に問題なのは「地下水バイパス」です。東電の説明図をご紹介します。
http://www.tepco.co.jp/decommission/progress/watermanagement/groundwater_bypass/index-j.html
東電はこれまで福島原発の地下には山側から1日800トンの地下水が流れてきていて、このうち400トンが建屋の中に入りメルトダウンした核燃料を冷却している水と混じって汚染水化してしまっていると説明してきました。
このため建屋に入る前の「汚染されていない地下水」を汲み上げ、念のため汚染の有無を確認してから海に流してきたわけです。この点を説明した動画もあるのでご紹介しておきます。
汚染水への取り組み~地下水バイパス~
2014年2月17日掲載 再生時間4分26秒
https://www4.tepco.co.jp/library/movie/detail-j.html?catid=61709&video_uuid=ulu71184
となると当然にも地下水バイパスから汲み上げられた地下水はほとんど放射能を含んでいないはずです。ところが実際にはかなりのトリチウムが含まれている!
● 汚染されてないはずの地下水になぜ120~250ベクレルのトリチウムが?
東電はこの水は汚染されてないとして放射能の除去などをせず、「貯留」「分析」のプロセスを経ただけで排水しています。
ではどれぐらいの濃度のものをどれぐらい排出したのか、以下にデータ化されています。
地下水バイパス一時貯留タンクの運用状況アーカイブ
http://www.tepco.co.jp/decommission/progress/watermanagement/groundwater_bypass/calendar/archive/index-j.html
最初にタンクの分析を行った2014年4月18日をみると、セシウム134、137、全ベータ核種のそれそれがND(不検出)とされていますが、トリチウムは東電調べて250ベクレル、第三者機関調べて240ベクレルになったと記載されています。
http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/f1/smp/2014/images/bypastank_140418_01-j.pdf
しかしこれでは東電の言ってきたことと辻褄が合わないのです。この水は核燃料に触れる前のはずのものなのにすでに多量のトリチウムが含まれている!
最新の2018年9月12日の分析データをみてみても、セシウム134、137、全ベータ核種はNDですが、トリチウムは東電調べて120ベクレル、第三者機関で130ベクレルとなっています。何かがおかしい!
続く