明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1598)福島原発サイトからは膨大な海洋汚染がすでになされ今も意図的な排出が続けられている(この間のまとめ)-放射能汚染水問題(7)

2018年10月16日 23時30分00秒 | 明日に向けて(1501~1700)

守田です(20181016 23:30)

● 放射能汚染水問題の連載について

放射能汚染水問題を連載していますが、これは僕が2016年夏に語った「毎日400トンの汚染水が海に出ている」という内容をコープ自然派さんがカタログに掲載したことに対し、水産庁から削除要請がなされたことを受けたものです。
その後の分析で僕がつかんだのは、膨大な放射能汚染水の海への流出は2015年10月に海側遮水壁を作ったことで止まったとされていることでした。この点で僕にはミスがありました。申し訳ないです。
しかしそれ以上に海洋汚染のひどい実態をよりリアルにつかむことができたので6月16日より連載を始めました。

明日に向けて(1537)福島第一原発放射能汚染水問題を振り返る!(1)
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/303ecfad5408a218b3059a527c519e9c

その後、自然災害の連発で途切れた連載を10月3日から再開しました。

明日に向けて(1581)放射能汚染水の投棄は今も継続中!-福島第一原発放射能汚染水問題を振り返る!(2)
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/8650c6d9a1a41544e1ee943226163c50

● すでに大変な汚染が起こりいまも継続している

連載における最重要ポイントは福島原発事故から今日まですでに膨大な放射能汚染水が海に流れ込んでしまったことです。
東電は今、タンクに貯めた大量のトリチウムを含む汚染水の投棄を目指していますが、すでに大量に流したからこそ、もうこれ以上少しも汚すべきではないことをしっかりおさえておきたいです。

その際、大事な点は、現在も井戸から汲み上げた汚染水が処理後に流されていることと、そもそも東電は地下水と汚染水がまじわり海に出ていくことを当初から知っていながら対策をサボタージュし膨大な汚染をもたらしたことです。
より深刻なのは二つ目ですが、この間、一つ目についてもどんどんと新しいことが見えてきて、連載が少々複雑になりました。それでここで再度まとめを行っておきます。

● 意図的排出が続いている

汚染水問題は原発サイトの山側から大量の地下水が流れてくることで深刻化しています。
原子炉がメルトダウンし熱を放ち続けているので大量の冷却水が投入されていますが、ここに地下水がまじって汚染水を形成し、海へと流れだしてきたのです。

東電は「取り除く」「近づけない」「漏らさない」ことを対策の3本柱としてきました。
「取り除く」とは原子炉建屋内の汚染水を汲み上げ、浄化装置(アルプス)を通してタンクに貯めること。「近づけない」とは建屋に地下水が入る前に井戸を掘って汲み上げること。
「漏らさない」とは建屋内で作られた汚染水を海に出さないこと、海側に遮水壁を作りつつ、原子炉と遮水壁の間にも井戸を掘って汲み上げて独自に浄化してきました。
再び東電の説明図をご紹介しておきます。

東電は山側の「地下水バイパス」から汲み上げたものは検査してそのまま捨て、原子炉周りの「サブドレン」、原子炉と遮水壁間の「地下水ドレン」からのものは、アルプス以外の浄化装置を通して捨てています。
この際、放出基準をトリチウム1リットルあたり1500ベクレル以下、セシウム134と137を1ベクレル以下、全ベータ核種を「地下水バイパス」は5ベクレル以下、「サブドレン」「地下水ドレン」を3ベクレル以下と決めています。
トリチウムの規制値を東電は厳しいものと自己評価していますが、世界にはもっと厳しい国や地域もあります。

● 三タイプの井戸に関する疑義

さて井戸を分析していて東電の汚染水発生メカニズムの説明が実態とあっていないことに気づきました。
原子炉内の核燃料と接する前のものである地下水にかなりのトリチウムが含まれているからです。地下水は雨によって形成されますが、となるとこの雨がすでにトリチウム汚染されているとしか考えられない。

明日に向けて(1585)汚染水発生メカニズムの説明がおかしい!・・・放射能汚染水問題-(3)
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/9f0bc7d46d395c37ee6764e8f895dae4

明日に向けて(1586)トリチウムの雨が降っているのではないか?-放射能汚染水問題(4)
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/7b99ac72c424ece8a69ce3ccfdd4aa12

● 薄めて流しつつすでに5000億ベクレルのトリチウムなどが放出された

排出にあたって東電は濃度規制を行っていますが、それでは薄めれば幾らでも基準をクリアできます。
実際にも「サブドレン」に原子炉の地下に入る前のものと入った後のものが混在しているし、ここにやはり汚染されたあとの「地下水ドレン」から汲み上げたものが一緒にされていて、薄めがなされています。

排出量は「地下水バイパス」からは2014年4月から2018年10月12日までで413,225トン、「サブドレン」「地下水ドレン」からは2015年9月から2018年10月11日までで614,075トンです。
概算で前者は1日あたり約260トン、後者は1日あたり約560トン。必ずしも毎日流してはいませんが、平均すれば合計で1日800トン以上の汚染水排出が続いています。
そこには概算で約5000億ベクレルのトリチウムが含まれています。もちろん他の放射能も混じり込んでいるのは確実です。

明日に向けて(1591)トリチウムを含む汚染水を濃度だけで規制し薄めて海に流している-放射能汚染水問題(5)
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/95bae75157b579887ced5d3e66451486

明日に向けて(1593)約5000億ベクレルのトリチウムが「地下水バイパス」「サブドレン」「地下水ドレン」から意図的に放出されたのではないか?-放射能汚染水問題(6)
https://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/21d3523a2a90f9396c2083172963a1df

以上、連載の経緯とこの間の汚染水の意図的排出についてまとめました。

続く

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