明日に向けて

福島原発事故・・・ゆっくりと、長く、大量に続く放射能漏れの中で、私たちはいかに生きればよいのか。共に考えましょう。

明日に向けて(1586)トリチウムの雨が降っているのではないか?ー放射能汚染水問題(4)

2018年10月07日 10時30分00秒 | 明日に向けて(1501~1700)

守田です(20181007 10:30)

汚染水問題の続きです。
前回、いまも1リットル1500ベクレル以下のトリチウムをはじめ、放射能汚染された水が海に注がれていることを述べる中で、そもそも東電が「汚染される前に汲み上げる」といっている「地下水バイパス」からの水にトリチウムが含まれていることを述べました。
今回は考察を一歩掘り下げたいと思います。

「地下水バイパス」とは何かを示すため、再度、東電の説明図を掲載しておきます。

● 雨水に含まれているトリチウムの量とは

このトリチウムはどこから来ているのでしょうか。
その前にこの地下水はどこから発生してくるのかというと、東電は前掲の動画「汚染水への取り組み~地下水バイパス~」で、雨が地表に降って地下に浸透していったものと説明しています。
ではその雨にはもともと自然界のトリチウムがどれぐらい含まれているのでしょうか。

原子力資料情報室のHPに掲載された「トリチウム」に以下のような記述があります。
「現在の降雨中の濃度は1~3ベクレル/リットルであるが、核兵器爆発の前は0.2~1ベクレル/リットルであった」
http://www.cnic.jp/knowledge/2116

あるいはATOMICAのトリチウムの環境中での挙動 (09-01-03-08)には以下のような記述があります。
「わが国において核実験開始前に測定された降水中トリチウム濃度は0.77Bq/lであったが、1960年代の初めには12~180Bq/lまで増加した。その後、減少し始め、現在はほぼ核実験前のレベルに戻りつつある」。
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=09-01-03-08

● 福島原発地下水のトリチウムは自然のもの、核実験由来のものを大幅に上回っている

核実験の前には概ね1リットルあたり1ベクレル以下であり、いまは核実験によって生じたものがまだ残っていて1~3ベクレルぐらいと考えて良いと思います。
となると東電サイトの地下水の120~240ベクレルもあるトリチウムは、その大半が自然界のものでも核実験によるものでもないこと、福島原発事故によるものであることが見えてきます。

となると考えられるのは福島原発の周辺に事故後に大量に降ったトリチウムが雨のたびに浸透しているということと、そもそもの雨そのものがトリチウムを大量に含んでいるということで、僕には後者の可能性がより高いように思えます。
ようするにトリチウムの雨が降っているのではないか?実は東電サイトどころか広範な大地のトリチウム汚染が繰り返し起こっているのではないでしょうか。
となると問題は海洋汚染にとどまらくなる。海に放出されたトリチウムが陸地に戻って再度の汚染をもたらしていることになります。こうなるとトリチウム汚染の問題は福島原発サイトからの海の汚染の問題だけではなくなります。

● 小出裕章さんがトリチウムの雨に当初から言及

この点を調べていて、元京大原子炉実験所の小出裕章さんがトリチウムの雨が降る可能性についてすでに2011年に言及されていることを知りました。
Radio News「たねまきジャーナル」2011年7月20日の回です。

小出さんの発言を精力的に文字起こししてくださっている「きーこ」さんのブログ「みんな楽しくHappy♡がいい♪」に記載されています。
http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-605.html

たとえば流されている放射能の中にはトリチウムという名前の放射能があります。それはいわゆる水素なのです。
放射能をもった水素なのですがこれも海に流れているはずで環境に出ると水の形になりますH2Oという形ですね。
そういう形になりますので海水が蒸発して雲になればそれがまた雨になって落ちてくるということですのでもちろん循環して陸にも戻ってきます。
色々な形で福島から一度出たものが汚染をあちこちに広げながらぐるぐる回るということになるとおもいます。

● 真実はどこに?

・・・実は正直なところ、僕はいま狐につままれたような気分の中にもあります。
ひょっとして僕が主観的な勘違いをしているのかもしれない。もしそうならば、どなたかぜひ僕の間違いをご指摘ください。

そうでないとするならばこれはもうトリチウムの雨が降り続けているとしか考えられません。しかもそのことは東電が雨を測ればすぐに分かることで、実は東電は真実をすでに知っていると思われます。
残念ながら今回の僕の分析では雨水をそのまま計測したデータは得られなかったのですが、これもさらに探し求めねばです。

ともあれ「汚染される前」と称した地下水バイパスから汲み上げた水からなぜ120~250ベクレルのトリチウムが出てくるのか真実を追求する必要があります。
またトリチウムの雨が降っているのだとしたら、福島原発サイトは言うに及ばず、いったいどれぐらいの地域に及んでいるのかもつかむ必要があります。

続く

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