シルバーウエーブはペットネームで、その時代の機械を使ったモデルがありますが、この個体は1962年発売(2112002)の62系「603(6201B)」を搭載した可変式リング付、強力防水型モデルです。しかし、この個体では、可変式リングが回転しない。針が緩くてインデックスと衝突して止まるなどの不具合があります。特徴のある圧着式の裏蓋を外して、機械を取り出しています。ベゼルを外すと、多くの汚れが詰まっていますね。
可変式リングの構造は、リュウズの巻き芯に付いているギヤで、可変リングの裏側にあるラック(歯車)を回すというからくり。特に逆転防止機構などはないので、どちらにも回転します。しかし、この個体のは合いは、リングと白いナイロン歯車の磨耗と接着の剥離が回転しない原因でした。
何度も分解を繰り返して針の孔が拡大して針が置いていかれる症状があります。過去の組立てで、きつく針を固定しようと、奥に入れ過ぎて、文字板と接触して同心円状のキズをつけています。貴重な文字板なのにもったいないことを・・・
機械自体には特に問題は無いようです。超音波洗浄をして組立てて行きます。右上の「受け」は後期型の一体ものです。
針孔を小さく矯正をして組んでありますので、置いていかれることはなくなりました。回転リングはギヤリングと接着をしましたが、ギヤが空回りをして回転しませんね。
回転リングが回らない原因は、汎用の風防が使われていたためです。純正の風防は、内周が段付きにモールドされており、回転リングを抑える役目をしていたのでした。で、運良く純正の風防が入手出来ましたのでセットしてみます。回転リングはスリップ無しで作動しています。
じつは、新しい風防で組んだ画像を撮り忘れましたので、古い風防の時の画像です。1962年発売の、セイコーでは初めて回転式リングを装備したモデルです。ダイナミックなデザインの中に、セイコーのセンスの良さが光る、良い雰囲気のモデルですね。機械は中級品のため、手巻きとハック機能が無いのは残念なところです。