今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

きれいなんだがローライ35ブラックの巻

2023年04月17日 19時30分00秒 | ブログ

ボールドウィンなんですが、ロッドの修復方法はいろいろあると思います。拡大をした孔を真鍮丸棒で埋めて、新たに適正な孔を開けるとか。しかし、今回はオリジナルの部品に手を付けたくないので、6mm厚の真鍮板からロッドを新製することにしました。

2つに分けて粗削りの状態。ここから適正寸法まで削り込んで行きます。てなことをやっていました。

 

さて、お仕事。アルミケースのローライ35ブラックとしては非常に状態が良く見えますよね。シンガポール製ですが、あまり使われなかったようです。その割には沈胴が緩いのとヘリコイドグリスが抜け気味です。

 

巻き戻しダイヤルは比較的軽く回転します。一応分解して清掃をしますが。

 

 

問題は電池の液漏れを起こした個体ということです。露出計も作動しません。嫌な予感がしますね。

 

あ~これだ。電池液漏れのガスがCdsを腐食させて足が折れています。折れただけでしたら良かったのですが、Cdsもダウンしていました。これはCdsを交換します。

 

 

 

 

 

 


一応ジャーマニーのローライ35の巻

2023年04月15日 16時00分00秒 | ブログ

週末なので少しお休み時間を頂きますので簡単にUPしておきます。ローライ35が溜まって来ました。#3133XXXとジャーマニー製ではありますが、ファインダーを除いてシンガポール製と同仕様の個体になりますね。シャッター不調、沈胴緩い、ヘリコイド抜け、レバーアテ欠落、トップカバーヘコミ、シューレール曲がりなど定番の不具合個所があります。あと、巻き戻しダイヤルも変更後のタイプが付いていますが、これが回転が非常に渋い。実際にフィルムを装填すると異常な重さになるでしょう。分解清掃からして行きます。

ローライ35に多いシューレールの曲がりです。底部にレイアウトされているので宿命でしょうね。

 

このように修正をしておきます。

 

 

内部の歯車も樹脂製です。唯一ファインダーはプリズムです。

 

 

構造上どうしてもシャツター内にチリが混入し易いのでレンズは汚れますね。清掃をして行きます。

 

沈胴のフェルトを調整しておきます。

 

 

無限調整をして距離リングをセットします。

 

 

トップカバーの軽いへこみの修正とレバーアテを取付けて本体に取付けました。レンズもきれいでシャッターも快調な良いコンデションの個体となりました。探されている方はお勧めできる個体ですよ。

 

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きれいなベビーローライの巻

2023年04月14日 22時00分00秒 | ブログ

状態の良いベビーローライ 4 X 4 が来ていました。古いカメラですからシャッター不調やレンズ汚れは仕方がないので整備をしておきます。ライトバリュー方式を採用していますので、シャッター部分の関連リングが多く、中々シャッター本体が出て来ません。スローガバナーなどのメンテナンスをしておきます。

次はファインダーの清掃。ミラーは汚れがありましたが清掃で問題ありませんでした。

 

 

レンズは曇りがありましたのでビュー、テイク共分解清掃をします。

 

 

前カバーを取り付けます。

 

 

フィルムの巻上げはオートマット方式が採用されていますので、フィルムを装填して巻上げれば自動的に1枚目で止まります。の部分でフィルムの厚さの差を検知しているのはすごいです。

 

シボ革を貼ります。

 

 

たまごシェルのような樹脂製の純正ケースに入っていたため状態は非常にきれいです。探していらっしゃる方には良い個体でしょう。

 

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帰ってローライ・スタンダードをやりますの巻

2023年04月12日 17時59分59秒 | ブログ

今日の日中は暑かったですね。先ほど新宿から戻りました。入国緩和の影響で外国人の旅行者が目立ちましたね。帰りに西口の鉄道模型店イモンに寄りましたが、完成車両は並んでいても自作用の材料や工具が少ない。今時は車両を自作する人は少ないのでしょうね。僕らの頃は完成品は買えないので安いキットを買って組み立てたものですが・・で、ローライフレックス・スタンダードを始めます。まずは本革の汚れが目立つのでブラッシングをしてから栄養を与えます。

この機種は決まってレンズが曇っています。しかし、変なコーティングが無いのと分解がネジ式と簡単なので清掃は楽です。

 

良好になりました。ビューレンズと同じぐらい曇っていました。

 

 

すみません。ボールドウィンの動輪のロッドを留めるネジを紛失して捜索していました。発見できませんが、スリ割り付きの特殊なネジなので困りました・・で、二眼レフの作業はフード内ファインダーとシャッター、レンズ。最後は外観の清掃です。流石にローライ製でもオリジナルのミラーはこのような状態ですね。これは交換します。スクリーンは汚れが焼き付いた状態ですので、このような時はレンズクリーナーでの拭き上げではなく台所へ行って中性洗剤かマジックリンで洗った方が早いです。

ミラーの交換ときれいになったスクリーンをセットしてフードを止めますが、このモデルはフードの取付ネジが側面なので、ミラーが完全に本体に収まっていない状態で無理にネジ孔を合わせようとするとミラーが割れる恐れがあり注意が必要です。水準器付きのスクリーンなので代替はないですからね。

シャッターは不調ですから前板を外してシャッターユニットを分離します。しかし、フードナット? が緩みませんよ。

 

スリ割り部分が大きく損傷しています。ここはスリ割りで開けようとするのが間違いなんです。フード全体を掴んで回せば回るのに・・

 

チャージレバーに大量の油が塗布されていて流れ出しています。

 

 

とりあえず前カバーに関連の部品を洗浄脱脂します。手がベトベト・・

 

 

シャッターはシャッター羽根、絞り羽根に油が回っていて低速不調の一因でした。

 

ビューレンズを分解清掃をして前カバーを本体にセットして完成。最後にチャージノブを取り付けますが、これがいつも苦手です。ナットを保持する専用工具などがあるのでしょうか?

 

カウンター復帰ボダンが押しにくいです。

 

 

外観の清掃をして完成。

 

 

元からセットの革ケースかは分かりませんが、古い革製品でもメンテナンスをすれは意外に長期間良い状態を維持できるものだなぁと感心しきりです。

 

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里帰りのPEN-Sオリーブの巻

2023年04月10日 09時30分00秒 | ブログ

おぉ、我が子が帰って来たね。過去にPEN-Sオリーブをご依頼頂いた方から整備のご依頼です。今見ても手抜きのない塗装をしていたなと思います。しかし、最近は修理のご依頼が多く、また、老眼も進んでいるので塗装は厳しいです。昔、有名な世代的に先輩の塗装職人の方が辞められた時「なんで」と思いましたが、今は分かる気がしますね。オリーブは数台作ったと思いましたが正確には忘れました。

まず、もう一台のPEN-S2.8 #309236から始めます。PEN-Sは長く生産されましたが、発売は1960年6月とのことですがこの個体はシャッター捺印から1961年10月となっていますから同月か翌月のカメラ製造と思われます。かなり初期型と思いますが、シリアルの頭がすでに「3」なんですね。

何故、初期型を入手されたのかは分かりませんが、実用でしたら初期のシャッターは色々と問題が有る場合が多いですから避けた方が良かったかもしれません。で、眠いながらも一応作動していますが、工場を出たままのシャッターが作動していることはまずありません。過去に修理を受けているはずです。点検するとスローガバナーを留める初期特徴の頭の小さなネジのスリ割りが笑っています。あまり慣れた方の分解ではないと分かります。

作動リングのリターンスプリングですが、の部分がピンに対して完全に嵌っていません。頭の部分に引っかかっているだけです。これですとバネが外れる危険性があるのとバネのテンションが不正確になってしまいます。

 

一番の問題は、以後の生産に比べてメインバネのテンションが弱いと思います。経時劣化もあると思いますが、線径も細い感じがします。元々、作動トルクに余裕のない設計ですから、バネが弱くなると作動の安定性は厳しいです。出来るだけフリクションを少なくするように組みます。

古いシャッターはシャッター羽根が腐食しているものですが、意外にこの個体は良好でした。洗浄をして組み立てます。

 

本体を洗浄して組み立てて行きます。

 

 

完成したシャッターユニットを搭載しました。

 

 

レンズが意外に良いですよ。後玉のコーティング曇りも全くありません。初期のレンズの方がコストを掛けて作ったかしら?

 

前玉も同様です。レンズについては満点です。

 

 

ファインダーは過去に清掃を試みて前面ガラスの縁を欠けさせています。カバーの接着剤はきれいに清掃をします。

 

ファインダーをセットしたトップカバーを本体に取付けて完成。

 

 

あ~、長くなっているので簡単にします。3.5の中期頃のシャッターはハウジングが黒仕様になります。「品質の向上」? 。単にコストアップの要因をするはずは無いので、仕様変更の差別化ではないかと思います。これから改悪の変更が行われていきます。

このシャッターはリペイント時にオーバーホールをしていなかったようですので作業をして組み込みました。シボ革はリペイン直後は塗膜にストレスを掛けたくないとの判断から両面テープ貼りとしていましたが、長期に剥がれが発生して取り外されていまして、シボ革も付属していませんでしたので純正ストックから調達をして接着をしてあります。

裏蓋も同様に接着をしました。

 

 

PENはオリーブは似合うと思いますね。

 

 

と言うことで2台のPEN-Sは完成です。明日は通院のため、たぶん更新は出来ないと思います。よろしくお願いいたします。

 

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