2台のPEN-Fが来ましたけど、どちらも分解歴があると分かるネジ頭の痛みが目立ちます。特にこの#2632XX(1966年3月製)はアンダーカバーのネジが両方ともコンパクト系PENのトップカバー横に使われているような頭が盛り上がった化粧ネジです。レリーズボタンが固着してシャッターが切れません。
トップ面に目立つ打痕があって修正ご希望ですが、鋭角の硬いものが当たったようですので修正は難しいです。
当たった部分は材料が陥没していますので修正は出来ません。目立たなくする程度です。
PEN-Fはとにかく古いので各部の潤滑はカラカラの状態が普通です。本体を洗浄後モルト貼りや洗浄した巻き上げ系部品を組み立てて行きます。
作業の脇でそろそろ来月の運転会で走らせる車両を準備しなくてはいけません。今回は戦時中に地元「青梅線」の前進「奥多摩電気鉄道」によって発注された「東芝製40t標準電気機関車」(ED2911)とディーゼル機関車DD13を走らせる予定です。物資の乏しい戦時仕様の凸型電機は私にとって魅力的なのです。
シャッターユニットのメンテナンスをしています。問題のブレーキが利いていない。ブレーキのナット部分を観察すると過去に分解されています。緩み止めのポンチが強く打たれていてナットが変形し分離できない状態です。
ブレーキのOリングを確認してみると・・あぁ、Oリングが削られています。Oリングが接触しているOリングホルダーは激しく錆びて膨張しますが、するとOリングが持ち上げられてブレーキが利き過ぎる状態になります。それをキャンセルするためにOリングを削ってしまうというのが定番の対策らしいです。(私はしません)
Oリングホルダーとナットの変形を修正して研磨をしたところ。新しいOリングを調整して組み立てます。
ブレーキを組み込んだところ。ナットに緩み止めのポンチを打ちます。
すみません。地元の病院に健康診断に行ってましてUPが出来ませんでした。PEN-FとPEN-FTではフレネルレンズ部分の設計が異なります。PEN-Fはフレネルの後ろのプリズムがピント面(PEN-FTはフレネルの後ろ面)です。表面に細かな傷が多く、傷の中に汚れが入って清掃出来ずファインダーから見えます。
プリズムに1点黒い腐食がありますがFとしては良い方です。古いモルトカスなどを清掃して組み立てます。
全反射ミラーは使えない状態ではありませんが、反射率は低下していますので「10年使えるようにして」とのご依頼なので新品と交換することにします。
これは2台目の#2640XXで1台目よりシリアルは少し後ですが、製造は1966年1月と2ヵ月早いようです。シリアル№はある範囲で前後するのは珍しくありません。で、巻き戻しダイヤルを引き上げても裏蓋ラッチが完全に上昇しない。
これはラッチの強度不足で、強く巻き戻しダイヤルを引き上げるとラッチが上方に曲がってしまい正規のストロークを取れなくなってしまうもの。画像は正規の90度に修正してあります。
ブレーキは僅かには利いていましたがやり直します。オーリングホルダーの状態は良い方です。ほとんどの個体はフランジ内は完全に錆びているのが普通ですが、この個体は錆びている部分は少ないです。
ブレーキを調整して組み込んだところ。しかし、未整備でフリクションの大きいレンズを絞り最大で1秒を切ると稀にミラーUPしてしまう現象あり。
出来るだけ工場で調整をされたシャッターバネのテンションはいじりたくないのですが、メカのフリクションを低減しての場合は仕方がありません。テンションを1段上げます。
光学系を組み立てて行きます。過去に分解された個体で↑のマスクの位置が間違ってフレネルの後ろに組まれているものを見ます。正規はこの位置です。
こちらも全反射ミラーは新品と交換しました。メカの組み立て終了。
ヒンジ部のモルトが悪さをして裏蓋を錆びさせているものがあります。錆びを除去してタッチアップしておきます。
オーナーさんは余程PEN-Fがお好きなのでしょう。2台のPEN-F は完成しました。
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