(七)
「新しいお絞りです、どうぞお使いください」
実千代の差し出すお絞りを引っ手繰るように受け取った竹田、すぐさま小夜子に手渡した。
「小夜子、今夜はどうしたんだい? 体調が悪いようだね」
「煙草やらお酒の匂いがね、今夜はどうも。どうしたのかしら、疲れてるのかしら…」
弱々しい声の小夜子に、竹田はただオロオロとするだけだ。
“社長の留守中に、小夜子奥さまがご病気になんてことになったらど . . . 本文を読む
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