昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

[舟のない港] (四十二)

2016-05-31 17:50:22 | 小説
「すまない」一時の激情から覚めた男は、呻くように言った。 「いいの、こうなることを覚悟で今夜は来たの。気になさらないで」  ミドリは汚れたシーツを洗うからと男に告げ、男は所在なげにタバコに火を点けた。 流し場で洗いながら、ミドリは努めて明るく話をし始めた。 「この間の家族会議の時に、お母さんと妹は大賛成なんだけど、道夫兄さん、何となく反対らしいの。 はっきりとした理由は言ってくれないんですけど。 . . . 本文を読む

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