［ウィンターズ・ボーン］を観終わって

アメリカの片田舎という土壌が分からぬ私には、どうして？　という想いが拭いきれない。
もう少し優しくしてやってもいいのじゃ？　という想いが駆け巡る。

アメリカの言う、自立心・自己責任とは、こういうものなのか…

今日本でも、自己責任と言う言葉が、ささやかれ始めている。
アメリカの自己責任なるものが讃えられつつあるけれども、日本はアメリカではない。
アメリカの土壌は、日本にはない。

絶望的状況下で、必死に生き延びようとする１７歳の娘。
１２歳の弟６歳の妹、そして心を止んだ母親の世話をしながら一家の生計を立てる１７歳の娘。
周囲の冷たい仕打ち－周囲もまた貧しく、支えられない辛さを抱えて。
父親の不始末によって引き起こされる、家からの立ち退き請求が追い打ちをかける。
それでもめげずに一人立ち向かうけれども…
全ての努力が水泡に帰すかと思われたとき、やっと光が差し込んできた。

これが、アメリカの自己責任なのか…かくも酷なものなのか…

かつてアメリカの推奨する市場原理主義なるものが日本になだれ込み、
日本にはそれが根付く土壌がないにも関わらず導入したがしたが為に、
経済のみならず社会までもが崩壊しかけている。

なのにまた、自己責任という言葉を受け入れるのだろうか。
社会保障改革、自己責任という美名に隠れた、改悪とならなければ良いのだが…