ダンスのレッスンが始まると、右往左往する彼だった。
入れ替わり立ち替わりに、女性達の相手を努めさせられた。
男性が少ないという事情とともに、物珍しさも合わさった。
「スロー、クィッククィック」
という掛け声と共に、彼は言われるがままにステップを踏んだ。
足下に視線を落としている折りは良いのだが、「顔を上げなさい!」との指示には閉口した。
幾度となく、女性の足を踏んでしまうのだ。
「最初は誰でもそうだから」
と慰める女性陣たちだが、二日目三日目となると、さすがに言葉に険を感じるようになった。
そのことから、また彼の足は遠のいた。
「ミタ君、ダンス部に来ないわねえ。ダメじゃない!」
彼の隣に席を取ったのぶこは、ブラックコーヒーをすすりながら続けた。
「みんな待ってるのよ。今日は出なさいね」
「のぶこさんは、どうするんです? のぶこさんに教えてもらいたいです」
と、のぶこに答えた。
しかし
「こらこら、十年早いわ!」
と、軽くいなされた。
「ま、いいわ。今日は、久しぶりに顔を出してみようかしら。ミタ君、相手してくれる?」
「勿論です、約束ですよ」
顔を輝かせる彼に対し、のぶこは呆れ顔でいた。
「それにしても、ミタ君、変わったね。初めて会った頃は、そんな言葉なんか出なかったよ。純朴な青年だったのに」
「へへへ。まっ、成長しましたから。でものぶこさんは、相変わらずですね。僕の名前にしても、ミタライとは呼んで貰えないし」
「いいのよ、ミタ君で。まだ半人前なんだから。じゃ、約束よ。必ず来るのよ」
入れ替わり立ち替わりに、女性達の相手を努めさせられた。
男性が少ないという事情とともに、物珍しさも合わさった。
「スロー、クィッククィック」
という掛け声と共に、彼は言われるがままにステップを踏んだ。
足下に視線を落としている折りは良いのだが、「顔を上げなさい!」との指示には閉口した。
幾度となく、女性の足を踏んでしまうのだ。
「最初は誰でもそうだから」
と慰める女性陣たちだが、二日目三日目となると、さすがに言葉に険を感じるようになった。
そのことから、また彼の足は遠のいた。
「ミタ君、ダンス部に来ないわねえ。ダメじゃない!」
彼の隣に席を取ったのぶこは、ブラックコーヒーをすすりながら続けた。
「みんな待ってるのよ。今日は出なさいね」
「のぶこさんは、どうするんです? のぶこさんに教えてもらいたいです」
と、のぶこに答えた。
しかし
「こらこら、十年早いわ!」
と、軽くいなされた。
「ま、いいわ。今日は、久しぶりに顔を出してみようかしら。ミタ君、相手してくれる?」
「勿論です、約束ですよ」
顔を輝かせる彼に対し、のぶこは呆れ顔でいた。
「それにしても、ミタ君、変わったね。初めて会った頃は、そんな言葉なんか出なかったよ。純朴な青年だったのに」
「へへへ。まっ、成長しましたから。でものぶこさんは、相変わらずですね。僕の名前にしても、ミタライとは呼んで貰えないし」
「いいのよ、ミタ君で。まだ半人前なんだから。じゃ、約束よ。必ず来るのよ」
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