(二)
「そ、それは……。
日本国の未来をも左右しかねない、大事な機密事項でして。
外部との連絡は一切認められず、身内以外との接触は、厳に慎むようにと禁じられました。
それに接触と言いましても、月に一度の手紙が許される程度でして。
然も上司の検閲を受けるといった具合です。
外出など一度たりとも許されません。」
「そうですわね、あたくしは身内ではありませんものね。
確かに、はっきりと将来のお約束をしたわけではありませんでしたし。
あたくしは、そんなものでしたのね。
あたくしの思い違いでしたの、やはり。」
二の矢が来た。
必死の言い訳をする正三。
「えっ?! そ、それは……。
いえいえ、僕としましても。
役所というのは文書によって動くものでして。
その、実体のない情のようなものでは、だめなのです。
何事も前例によって事が進みます。
上にお伺いを立てて、その許可なり了解がないものはだめなのです。
がんじがらめの状態なのです。
どうぞ、僕の立場をお分かりください。
僕の心の中では、小夜子さんは身内です。
生涯の伴侶と思っておりました。
しかし、法律上では他人なのです。
戸籍に載っていないことには、身内として認めてもらえないのです。
僕としましても、どれほどに連絡を取りたかったことか。
しかし許されない行為なのですよ。
僕の苦衷も、どうぞお察しください。」
「そ、それは……。
日本国の未来をも左右しかねない、大事な機密事項でして。
外部との連絡は一切認められず、身内以外との接触は、厳に慎むようにと禁じられました。
それに接触と言いましても、月に一度の手紙が許される程度でして。
然も上司の検閲を受けるといった具合です。
外出など一度たりとも許されません。」
「そうですわね、あたくしは身内ではありませんものね。
確かに、はっきりと将来のお約束をしたわけではありませんでしたし。
あたくしは、そんなものでしたのね。
あたくしの思い違いでしたの、やはり。」
二の矢が来た。
必死の言い訳をする正三。
「えっ?! そ、それは……。
いえいえ、僕としましても。
役所というのは文書によって動くものでして。
その、実体のない情のようなものでは、だめなのです。
何事も前例によって事が進みます。
上にお伺いを立てて、その許可なり了解がないものはだめなのです。
がんじがらめの状態なのです。
どうぞ、僕の立場をお分かりください。
僕の心の中では、小夜子さんは身内です。
生涯の伴侶と思っておりました。
しかし、法律上では他人なのです。
戸籍に載っていないことには、身内として認めてもらえないのです。
僕としましても、どれほどに連絡を取りたかったことか。
しかし許されない行為なのですよ。
僕の苦衷も、どうぞお察しください。」
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