むしろのすき間から中をのぞいてみるが、真っ暗でなにも見えない。
ぼくのこころの中に((ついて来るんじゃなかった。そもそも無理だったんだ、この計画は。
へび女がどこに眠っているのか調べもしないなんて。
おりだって? そんなもの、どこにあるんだよ。
そんな大事なことを調べてないなんて、ひどい話だよ))と、いかりの気持ちがわいてきた。
((不良少年にされて少年院に入れられるなんて、だめだよ。
あの賢治さんがどんな風に言われているか、されているか。
そのことをいま話したら……友人はなんていうだろう?
おく病者って、軽べつされるだろうか。人でなしと非難されるだろうか………))。
逡巡する気持ちがおさまらない。
((いっそこのまま、だまって帰ろうか。ひょっとして、誘拐とかなんとか、警察に追われることになるんじゃないか?
いやだよ、そんなの。なんでへび女のために、そこまでやらなくちゃいけないんだ。
おとなは、なんで黙って見てるんだよ。よし、帰るよ、いっしょにかえろうって言おう))。
意を決して、友人のすそをひっぱった。
「まずいぞ。絶対まずいぞ」。「まずいよね」。
おなじことを考えていたのかと嬉しくなったわたしだったが、まるで違っていた。
「もう逃げ出したんじゃないか? へび女。
それともほかの誰かが…。いやそうじゃない。
やっぱり、ひとりで逃げ出したんだ。それをみんなが追いかけてるんだ、きっと」
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