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昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第二部~ (六十)の九

2013-05-06 13:36:03 | 時事問題

(九)

「申し訳ございませんでした、杉田さま。
当方の手違いで、このような場所にご案内いたしまして。

ただいまお席のご用意ができましたので、どうぞお二階の方へ。」

ボーイからの注進に素早く対応したマネージャー。
正三に対する他の者たちの気の遣いようから、上客になると判断してのことだ。

「本日のご会計は、大サービスさせていただきますので。」
と、杉田に耳打ちする。

「不愉快です、ぼくは。金をけちろうなどとは思わない。
楽しませてもらった分だけは、きちんと正当に払います。」

憮然とした表情で、正三が口を開いた。

“いいか、正三。
金をケチってはいかんぞ。
どんなに店側に落ち度があっても、女どもに腹が立ってもだ。

そういう店には、二度と行かんことだ。
中に、『その後どうなったかな?』などと、
サービスを期待してのこのこと出かける輩がいるが、言語道断だ。

毅然とした態度を取るのだぞ。
見られている、ということを常に忘れるな。”


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