昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

鼠小僧次郎吉 ~さると猿回し~ 十四

2010-08-10 20:59:54 | 小説
「俺がとっちめてやろうか?
なぁに、
手ぬぐいでほっかむりでもすりゃ、
俺だって分かるはずもねぇさ。」

「やめて、
そんなこと。
そんなことして
万が一にもバレたりしたら・・」

「バレたって構わねぇさ。
お登勢ちゃんのことはだまってるから。」

「やっぱりだめ!
次郎吉さんの気持ちだけで、
十分。
また愚痴を聞いてね。」

そして今、
次郎吉の豹変に、
腰元は錯乱状態に陥った。
これまでのことが、
全て腰元を手駒にするための方便だと思い知らされた。

後悔の念・悔しさ
そして未練の心が渦巻いている。

“こんな性悪の男に・・・”
そう思いつつも、
呼び出される度に
胸が踊ることも事実であった。

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