(十八)パシリ
雨の中で、ひとり泣き笑う少年。
今夜のために、この十日のあいだに準備したこと。
物理的なことではなく、シュミレートしたすべてがなんと虚しいことか。
周到にくみたてたことが、
ともすればうずくまってしまう弱い心をふるいたたせたことが、
すくんでしまった足にめいじた脳からの指令が、
それらすべてが……。
いま、もろくも崩れさっていく。
同世代から‘ニヒリスト’とやゆされても、苦笑いをかえしつづけた少年。
同世代のわらいのうずに溶けこめない少年。
パシリにすらされない拒絶、パシリにすら見られないむなしさ。
十年後、二十年後、同窓会において透明人間化するおそれ。
同世代とのつながりをもとめる少年、そのすべをもたない。
雲ひとつないまっ青なそらを絵画にしようとするおりの、
おのれの無力さを知ったこころー絶望、そしてうまれた虚無のこころ。
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