はげしく首をふる孝男に、道子が冷然とつげた。
「ツグオは、あなたにそっくり。
好き嫌いがはげしくて、気に入った人間にはとことん入れあげるけど。
嫌いだとなると徹底的に排除して。それを相手の人格のせいにするの」
口をはさもうとする孝男を手で制しながら、なおもつづけた。
「それに、清潔好きというより潔癖すぎるの。
家族がさわった物でも、同じものは嫌がるし。
髪の毛一本ですら目くじらを立てて責めあげるし」
「それはだな。お前の掃除がいきとどいていないからであって、手抜きぐせだろうが」
苛立つ孝男が道子のことばをさえぎった。
ほら相手のせいにするとばかりに、大きくため息を吐いてみせながら「ツグオはね」とつづけた。
「ツグオはね、知っているの。
あなたに似ていることをしっているの。
だからいつもあなたを避けてるの。
そしてね、あなたはそのことに気付いてないのね。
気づいてないけど、感じてるのよ。
だからツグオがナガオに負けることが許せないの」
次男が孝男に似ているということが許せないのだと、道子が指摘した。
「馬鹿な…」
と言いつつも、否定できない孝男がいた。
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