昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

[蒼い情熱 ~ブルー・れいでい~](十七)どしゃ降りの雨

2023-06-24 08:00:12 | 物語り

 外はもう、どしゃぶりになっていた。
少年はかなしかった。
肩をたたく雨が、いっそう少年のこころを重くしていた。
そしてその雨とともにほほをつたう涙も、とまることを知らなかった。

「ごめんなさい……」
と、消えいるような声が。
そしてそれが少年の耳にとどいた時、ふたりの黒服によって外へとつれだされた。

 少年のこころに、後悔する気持ちが生まれていないことが救いだった。
といって、少女を責める気持ちもない。
心情を伝えられなかったことが、残念だった。
ただただ、残念だった。……残念だった。

“どうして分かってくれない!”
“どうして……なぜ……どうして……なぜ……”
 とつぜんに腹立たしさが込みあげてきた。

“なにを、伝えたかった?”
“誤解されたって? なにを?”
“うなずいてくれれば、良かった?”
“話を、したかっただけなのに……”



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