(五十二)
歌が終わると、アトラクションが始まった。
まさに抱腹絶倒、久しぶりに腹の底から笑った。
椅子を使った曲芸は、テレビで良く見たけれども、生は初めてだ。
凄い! ただ、そのひと言! こればかりは、お伝えのしようがない。
腕に浮かんだ血管の筋が、その力の入り用を如実に表している。
男性に全てを預け(まさに生命さえも)ている、女性の安らいだ顔が印象的だ。
更には、男性二人組が、大きなボストンバッグを抱えて現れた。
ひと目で、銀行強盗だと分かった。
鞄の中から男が飛び出したけれども、!!!の連続。
圧巻は、三メートルほど離れた場所から、その鞄めがけて男を放り投げる男性二人。
そして見事に、その鞄の中に入った。
ブラボー! ブラボー! ブラボー!
最大の笑いと拍手を取ったのは、意外にも、腹話術師だった。
動物を使って、うまい間の取り方で、笑いを誘う。
客席から男女三人を引っ張り上げて、えっ!? マイクロソフト社のビル・ゲイツ会長? と見紛う男性がいる。
まさか、まさか、他人のそら似でしよう。
英語での会話だろうけれど、東宝にはチンプンカンプンだけれども、笑いが止まらない。
いやいや、笑いは世界共通の言語です。
三人、いや四人の男女の会話中に、突如として声を上げるインコ。
それがまた、絶妙のタイミングで笑いを誘う。
腹痛(はらいた)を起こしそうで、もうやめてくれえ!
そう叫びたくなった私でした。
さあ、いよいよ、始まりそうです。幕が下りて、ばたばたと慌ただしく動き回る音が。
こちらも、ドキドキと胸が高鳴り、準備万端整いましたぞ。
世界一のカンカン、フレンチカンカンへの期待が、否が応にも高まります。
にしても、なにゆえにカンカンという踊りがもてはやされたのでしょう。
フレンチカンカンなどと、名打たれたのはなぜに?
当時のフランス女性(今もか?)ツンとすました淑女に対する、アンチテーゼの意味が込められているのでしょうか…?
そのシーンに入った途端、男性はもちろん女性陣からも多大の拍手と嬌声が、上がったのですよ。
[Feerie] 妖精 だとのこと。
全員総出の顔見せから始まり、まずは[海賊編]。
インドと聞いた気がするのですが、パンフレットではインドネシアに停泊中の船中だとのこと。
若い恋人の仲を裂こうとする王様。数々の苦難が襲いかかってくるのです。
中でも圧巻が、ヘビ寺で出くわしたゴーゴン(大蛇でしょうか?)
オープンスペースに、突如出現する大水槽。そしてその中には、三匹、いや四匹か?
美女と戯れる(ように見えた)大蛇たち。
この結末は、如何に? フランス語での台詞は、さっぱり! でも、ハッピーエンドでは?
そして始まった、ドリスガールたちの、ドリスサーカス!
そしていよいよ、フレンチカンカン!!!
「○○ France!」多分、フランスバンザイ! ト叫んでいると思うのですが。
実に見事な、足の上がり方でした。ほぼ、垂直に上げられていました。
もう、その度に、拍手、拍手、拍手! です。手が痛くなりました。
汗の飛び散る席、それを期待(?)しての、かぶりつき席。
苦痛に歪む顔や、喜びを爆発させた表情、それらが間近で見える席。
そしてそして、踊り子さんたちのかけ声が耳に心地よく響く席。
それが、かぶりつき席の特権だ!
若い人たちの席から聞こえた言葉。
「巨乳は、居ねえや!」
「バーカ! おっぱいに目を取られて、誰も踊りを見てくれなくなるだろうが!」
「違ぇーよ! でかいと、踊りの邪魔だよ。」
なんとも、不謹慎な…… しかし正直な感想でした。
そしていよいよ、フィナーレを迎える。
中央二階席に向かっての挨拶だ。
* 写真は、期間限定です。8/9には、外します。
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