(五)
そして今、初めての海で戯れる小夜子。
思い描いた大海原を眼前にして、息を大きく吐き出した。
沈み行く夕陽が、海を赤くしている。
“あぁ、これが幸せというものなのね”
暖かさの残る砂地に寝そべり、武蔵の指で遊ぶ小夜子。
「いいこと。物では得られない幸せがあるのよ。
お金では買えない幸せがね」
梅子の言葉が思い出される。
“でもね、梅子姉さん。
お金があればこその、この旅行だわ。
それに、時間はお金がないと作れないのよ。
武蔵の稼ぎがあればこその、今なの”
そんな思いから逃れ得ぬ小夜子だった。
そして今、初めての海で戯れる小夜子。
思い描いた大海原を眼前にして、息を大きく吐き出した。
沈み行く夕陽が、海を赤くしている。
“あぁ、これが幸せというものなのね”
暖かさの残る砂地に寝そべり、武蔵の指で遊ぶ小夜子。
「いいこと。物では得られない幸せがあるのよ。
お金では買えない幸せがね」
梅子の言葉が思い出される。
“でもね、梅子姉さん。
お金があればこその、この旅行だわ。
それに、時間はお金がないと作れないのよ。
武蔵の稼ぎがあればこその、今なの”
そんな思いから逃れ得ぬ小夜子だった。
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