昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~ふたまわり・第二部~(四十六) 七

2012-09-29 21:19:31 | 小説

(七)

「あらあら。こちらこそ、お願い致したいことです。」

満面に笑みをたたえて、千夜子が言う。

“商売抜きでの付き合いが、できそうな男だわ。
奥さまには悪いけど、あたしにも、ね。”


“そうか、やっぱりこの女もその気だったか。
それにしても、商才がある。

女にしておくのは、勿体ない。
いや、女だからこその商売があるかもしれん。

会社の女たちの中にも、案外居るのかもな。
明日にでも、話してみるか。”


「どうなさいました? 
ご迷惑ですか、月一度と言うのは。」

「いやいや、これは失礼。
千夜子さんの商売熱心に感服しまして。
つい、見とれてしまいました。」


「まぁ、お上手ですこと。
ほんとに遊び慣れてらっしゃること。」

「そろそろ、鮨をつまみますか?」
パンパンと手を叩き、階下から呼び寄せた。


「ありがとうございます。
社長さまには、あたくしでもつまんでいただこうかしら。」

妖艶に誘いかける千夜子に、武蔵は背にゾクッときた。

「いや、それは大好物です。」


最新の画像もっと見る

コメントを投稿