昭和の恋物語り

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長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第二部~(七十五) 女の話なんかも、してるの?

2013-12-24 20:59:41 | 小説
(八)

「ふーん。そんなことを言ってたの。竹田をねえ。
でも武蔵ったら、そんなことを専務と話してるの? いやぁねえ、もう。

他には、どんなことを話してるの? 女の話なんかも、してるの?
良いのよ、結婚前のことなんだから。

武蔵の女癖の悪さは、千勢、あなたより知ってるかもよ。
だって、出会いがキャバレーなんですもの。

初めは、あたしもその他大勢の中の女だったんだから」

小夜子の自虐的な響きのこもった言葉に、すかさず千勢が答えた。

「小夜子奥さま、とんでもないです! 小夜子奥さまは、初めから特別でしたよ。
なにせあの専務さんが口酸っぱく言われてましたから。

『武さん。あの娘は特別ですって。あの娘だけは、大事に扱ってくださいな。
今はまだ原石ですが、とに角壊れやすい翡翠の玉ですからね。

そこらの女と同じように扱っちゃ、絶対に罰があたりますって。

頼みますよ、ほんとに』

で、旦那さまは
『分かってるよ、五平。
初めは半信半疑だったが、確かに小夜子は良い女になるぞ。
楽しみにしてるんだよ、俺は』

とおっしゃってましたから」


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